2000年4月号

脱着自由自在の電流センサ採用
CT変換器(形式:CTS)

(株)エム・システム技研 開発部
 
はじめに
 発売以来ご好評をいただいておりますインバータ対応CT変換器(形式:CTH)について、大電流(5A以上)計測への対応のご要望が数多く寄せられています。ご承知のとおり、CTHは周波数特性の優れた変換器ですが、残念ながら、一般 のCTを使用すると、CTの周波数特性のために、CTH自体の性能を十分に発揮させることができず、ご要望にお応えできませんでした。そこで、周波数特性に優れたCTを含めた変換器の開発を行っています。
 以下ここにご紹介するCT変換器は、交流大電流を簡単に計測でき、周波数特性にも優れた、フレキシブルセンサを採用の新形変換器です。
 電流センサとしては、軽量で脱着繰り返し誤差が小さいロゴスキーコイル方式を採用しました。変換器本体に、CT比を4段階で切り替えられる機能を持たせることにより、1台の変換器で広範囲の交流電流計測を可能にしています。
 図1に、電流センサを含めた変換器全体の外観を示します。

1.電流センサの特徴
 電流センサであるロゴスキーコイルには、下記のような特徴があります。
 ●広帯域周波数特性
 ●大電流計測
 ●軽量
 ●脱着繰り返し誤差が小さい
 以下、それぞれの特徴について説明します。従来、ロゴスキーコイル方式の電流センサは、雷電流や電流パルス計測など高周波電流を計測するために使用されてきました。その周波数特性は良好であり、したがって、これをセンサとするCT変換器の周波数特性は、センサからの信号を処理するプリアンプの性能で決定されます。今回開発した変換器では、商用周波数(50/60Hz)への対応は当然のこととし、とくにインバータで使用される低周波数(5、6Hz)も計測可能なように、プリアンプの周波数帯域を4Hz~10kHz(-3dB)としています。具体的な周波数特性を図2に示します。
 今回採用したセンサでは、フルスケール300Aと3000Aの2種類が選択できます。また、センサ重量 はわずか約200gと軽量で、従来のCTの数百分の1程度です。さらにまた、脱着が容易な構造をとり、太い電線を設置した後でも簡単にセンサを取り付けることが可能です(取付専用部品を製品に添付しています)。また、脱着繰り返し誤差も±0.1%とわずかです。
 このような特徴から、既設盤にCTを取り付けて電流を計測しなければならない状況で、盤内に収納スペースがないような場面 や太い電線の切断・圧着処理に多大な工数を必要とするような場合には最適です。
 センサ部の外形寸法を図3に示します。

2.変換器本体の特徴

 変換器本体には、前述した周波数帯域4Hz~10kHzのプリアンプが内蔵され、演算処理方式には実効値演算を採用しています(図4のブロック図を参照してください)。
 また、変換器の前面にCT比の切り替えスイッチを設けてあり(図5参照)、4段階に設定できます。つまり、センサに300Aフルスケールタイプを使用した場合には、30A、60A、150A、300Aでそれぞれ変換器の100%出力(DC4~20mAでは20mA)が得られます。同様に3000Aのタイプでは300A、600A、1500A、3000Aで100%出力となります。
 センサと変換器本体の接続方式としては、変換器本体前面でのコネクタ接続を採用しましたから、センサ部だけの取付・配線処理が終了してからも、変換器本体を設置・接続することが可能です。
 また、センサと変換器本体は自由に組み合わせることができるように設計されていますから、以前ご購入のセンサに最近購入された変換器本体を組み合わせていただいても、測定精度は±1.5%になります。ただし、センサのフルスケールが違う場合には、自由な組み合わせはできません。つまり、フルスケール300Aのセンサに3000A入力タイプの変換器本体を組み合わせることはできませんのでご注意ください。

おわりに

 交流大電流検出用に周波数特性が優れたロゴスキーコイル方式の電流センサを使用した新形CT変換器についてご説明しました。センサを変換器の一部として統一設計することにより、様々な特長を持った製品を実現することができました。
 この電流センサを応用することにより、既設の電線を切断・処理することなく、電力や力率なども計測できる変換器が開発できることになりました。
 今後とも、エム・システム技研の電力関係変換器をご愛用くださるようお願いします。

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