| ２００３年１月号 | |||||
| |||||
| 宮 道 繁 （株）エム・システム技研 代表取締役社長 | |||||
| あけましておめでとうございます。 昨年4月1日に、エム・システム技研は創業30周年を迎えました。計装システムに必要な機能を分解して、プラグイン式のイメージで商品化し、計装市場の底辺を拡げることができたように思います。この間、世の中は大きく変わり、パソコンが高速、高機能、安価を実現して、計装システムの中に主役の座を得ました。 計装業界では、早くからフィールドバスの概念がありましたが、なかなか普及には到りませんでした。一方、FA市場で主役の座を得たPLCが提案した、オープンフィールドネットワークが急速に普及し、パソコン＋PLC＋オープンフィールドネットワーク付リモートI／Oで、大部分の計装システムが実現するようになりました。 エム・システム技研にとっては、再び活動範囲を拡げるチャンスがめぐって来ました。本当にありがたいことだと、幸運をかみしめています。 さて、日本は今、「失われた10年」といわれ、公共投資による不況脱出が試みられてきましたが、結果は、大量に発行された国債の重みに耐えられそうにないところまできてしまったのではないかと思われます。 小泉政権が打ち出す痛みの政策に対して、各論におよぶ批判とともに、「将来のビジョンを示せ」の大合唱ですが、誰一人、構造改革の結果としてどのような世の中になるかを述べる人がいないのは、一体何故なのでしょうか。 日経ビジネス誌の10月21日号に、中前忠氏による“世界株安は何を語るか”と題する一文があり、その中に「デフレとなると、13世紀以来の歴史を振り返れば50～100年続くのが普通だ」と記されていて、インフレを前提とした企業経営は、デフレ時代にはこれが全部崩れるとしているのは、昨今実感するところです。 これからは、物価は上がらないことをベースにして、実業でしっかり稼ぐ会社だけが存在を許されるのだ、と心得るべきだと考えます。 欧米はこれから「失われた10年」を経験するのではないか、という見方が台頭してきているとも述べているのは由なしとしないように思われます。 でも日本は、IMFに支援を求めた各国と違い、巨大な貿易黒字を出しており、前年比大幅に利益を伸ばしている優良企業が、トヨタ、信越化学、日東電工、光洋精工、キャノン、日本電産、シャープ、デンソー、旭硝子などのように数多くあることを思えば、構造改革が進めば安定した明るい社会になるに違いないと思います。 デフレ経済の本質は供給過剰であり、これからは大型の新規設備案件はうんと少ない社会になるに違いありません。そこでクローズアップするのが従来設備を整備点検して長期間運転し、償却済の設備でローコストな製品を安定供給して行く時代、すなわちメンテナンスの時代がやってくるものと思われます。 警備保障会社が「安全」というソフト商品で発展しているように、メンテナンス会社が各種設備やビルのメンテナンス技術と優れた体制で発展をとげるのではないでしょうか。 エム・システム技研では、電話回線、携帯、PHS、ISDN、ADSLなど新しいインフラを利用したリモートメンテナンスの実現に必要な機器をはじめ、インターネットを駆使した計測・監視用機器を小型、安価に提供するマーケットを形成するという大事業に挑戦し続けています。 これからの計装は、いつでもどこでも設備の監視制御ができる、便利で安全な方向へ進むに違いないと思います。 あらゆる計測信号や警報信号、運転停止信号などがLANに乗って走りまわっていて、自動的に携帯やパソコンで監視操作するのが当たり前になるでしょう。 エム・システム技研では、すでに、NTTの高速通信網を利用し、複数の工場を高速LANで接続して全設備を集中管理する計装システムを立ち上げた実績があります。 このような世の中の変わり目に、先陣を切って新しい発想による新製品を次から次へと発売して行ける幸運をしっかり把握するようにがんばって参ります。新しい機能の製品は、丁寧に解説して、ユーザーの皆様方にその使い勝手をご理解いただかなくては普及の目途が立ちません。ここにも、この『エムエスツデー』の役割は大変大きなものであります。 愛読者の皆様には、よりよい『エムエスツデー』にするために、ホットラインへのお問合せや、アンケート、MKセミナーなどを通じて、多くのご意見、ご忠告をおよせいただきたく存じます。 今年も、読み易く、お役にたてる『エムエスツデー』にして行きたいと編集関係者一同、気合いを入れて行きますので、よろしくお願い申しあげます。 ■
|
| ||||
