2004年4月号 | ||||||||||
計装豆知識◆◆ 変換器の仕様書の読み方について (4) ◆◆
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異なる2種類の金属線または合金線A、Bを図1のように接続し、その両端C、Dに温度差を与えると、ゼーベック効果により端子D1-D2間に電圧(熱起電力)V 1が発生します。なお、端子D1、D2は同一温度t 2に保ちます。 ゼーベック効果による熱起電力V 1はC点(測温接点)とD点(基準接点)の温度差Δt(=t 1-t 2)に対応して発生するものであり、Δt とV 1の関係は熱電対の金属線A、Bの組合せごとに一定かつ既知であって、IEC、JISなどの規格に「規準熱起電力表」として掲載されています。
ところで、工業計測においては、通常、基準接点D1、D2の温度を実際に0℃に保つ方法はとらずに、基準接点D1、D2の温度を別途測定して熱起電力V 1を補償する方法をとりますが、これを冷接点補償または基準接点補償と呼んでいます。具体的には、t2の温度を測定し、該当する規準熱起電力表から求めたt2に対応する熱起電力がV 2とすると、V 1にV 2を加算して補償します。 基準接点の温度を測定するには、通常、ダイオードの温度特性を利用したり、測温抵抗体を使って電子回路で補償します。
例.カップル変換器(形式:M2TS)の仕様 基準精度:±0.4% (ただしR、S、PR熱電対では測定 スパン400℃以上、 B熱電対は770℃以上) 冷接点補償精度:20±10℃において K、E、J、T、N熱電対 ±0.5℃以下 S、R、PR熱電対 ±1℃以下 たとえば、K熱電対によって0~1000℃を測定する信号変換器(M2TS)の周囲温度20±10℃における精度は、基準精度0.4%に対応する4℃と冷接点補償誤差0.5℃を合わせ、最大4.5℃になります。
【(株)エム・システム技研 開発部】
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