世界のフィールドバス事情 第3回
ISAでのフィールドバスの標準化
(その2)



(株)エム・システム技研 開発部 主管技師

 SP 50が発行している“Draft Functional Guidelines”(1987年4月)に沿って、ISA/SP 50のフィールドバスに対する要求機能についての説明を続けます。フィールドバスの適用分野としてはH1、H2があります。今回は、どちらにも必須の機能について説明します。

 1.製品の設置条件

 本質安全防爆計装が要求される現場機器の中にもフィールドバスを実装できること。当然、このような現場機器についてはFM、UL、CSA、PTB、BASEEFAなど米、加、独、英の認定機関の認定が得られることが必要です。
 この要求項目が最初に出ていることの背景としては、SP 50でフィールドバスの要求機能を熱心に検討しているのはエクソン、シェブロン、シェル、BPなど石油精製、石油化学の業界の人が中心になっているためです。この分野では、操業の安全性から防爆計装は常に必要です。

 2.信 頼 性

 プラント操業の安全性の見地から通信機能の信頼性としては、平均20年に1度だけ通信エラーを検知するのに失敗することがある程度の高い信頼性を必要とします。とくに、プラントの現場においては、無線通信装置や配線ライン間にクロストークがあること、また電磁弁のオン/オフ信号やタービンメータのパルス信号などがノイズ源として存在することを十分認識してフィールドバス規格を開発すべきです。

 3.電源の供給方法

 現在、DC4~20mAの信号伝送では、電源と信号を共有する2線式が主流です。すなわち、現場機器への電源供給は、現場に電源を用意する必要がなく、計器室から供給できる方式が一般になっています。フィールドバスの場合も同様に電源と信号を共有する2線式の計装を可能にすることにしています(図1参照)。

 4.対環境性能の規定

 フィールドバスは、優しい環境から非常にきびしい環境にわたって、幅広い範囲で動作しなくてはなりません。操業の安全性を確保するためには、このような環境に対して決して妥協してはなりません。少なくとも次の分野に対する考慮が必要です。
●EMI(電磁波障害)/RFI(電波障害)など
●ショック/振動
●引火性
●腐食性
●放射線
 これらの項目の規定においては、IE C/TC 65/WG 5やNACE(注)などを参照することとしています。
 以上がH1、H2共通の必須機能であり、H1のみの必須機能(追加分)の項目としては、トポロジー(位相、配線方法)、電気環境、データタイプ、接点入出力、通信速度などがあります。これらの項目については次号で説明します。
(注)NACE:National Association of Corrosion Engineers

     

































次ページへ>

*. 本ウェブサイト上に掲載されている情報は、掲載した時点での情報です。記載内容はお断りなしに変更することがありますのでご了承ください。

*. 本ウェブサイト上の表示価格には消費税は含まれておりません。ご注文の際には消費税を別途頂戴いたします。

MG 株式会社エムジー

Copyright © 1992 MG Co., Ltd. All rights reserved.