設計者からのメッセージ

加納 能一
金子産業(株) 技術部 次長

 BRT-1-Eはサーボトップ(アクチュエータ)BRT-1を耐圧防爆構造化した製品です。サーボトップはエム・システム技研ですでに完成された製品ですので、その特長を極力損なわないように開発しました。しかし、防爆化に伴い一般ではあまり考えないような条件設定などが必要になることも事実です。
 防爆構造電気機械器具(正式にはこう呼びます)は、製造者が製品の定格を定め、申請する製品がその定格に合致していることを立証して検定を受けます。
 ですから、製造者は検定を受けた定格を使用者に知らせることと、その品質の製品を供給する責任があります。そして、使用者は製造者が示した定格の範囲でしか使用することが許されません。
 BRT-1-Eは、その定格を電源AC110V 50/60Hz、電流1A、負荷率90%、始動頻度360回/時、E種絶縁としました。電源、電流については、同一形式で100V 50/60Hz、1.1Aおよび、105V 50/60Hz、1.05Aも加えました。
 この定格の負荷率90%、始動頻度360回/時の意味を説明しておく必要があると思います。このアクチュエータには、10秒間定格電流が続くと自動的に負荷をカットするロック機能があります。そこで、正常運転においてあり得る最も過酷なコイル温度上昇の条件を捜しました。その結果、負荷カットが起きない9秒間を出力軸がエンドストッパに当たる状態で運転し、1秒間フリー方向に運転する、を繰り返すのが再現可能な一番過酷な条件であることがわかりました。
 しかし、温度上昇試験は定格電源の90%から110%の範囲で行い、その最大温度上昇時において定格を満足しなければなりません。この結果、防爆電気機器の通常の周囲温度の範囲(上限40℃)で十分使用できることが確認されました。
 このほかには、90%の電流負荷での連続運転や、より短時間の繰り返しも試みましたがコイルの温度上昇は緩やかでしたので、防爆検定申請書中の定格の説明で「温度上昇の面で最も厳しい条件を選定して申請の定格とすることにより、本申請品の運転条件のすべてを満足するものとした」と明記しました。
 前にも述べたように、防爆の製品は製作者がどのような条件で使用できるかを明確に示さないと、使用者は選択に際して不安を感じる訳ですが、正常運転においてはすべての条件で大丈夫、ということがBRT-1-Eの最大の特長です。
 また、防爆構造の種類は耐圧防爆構造のExdIIBT4であり、この基準では、外部導線引込のための端子箱を機器と別に設ける必要はありません。しかし、使用者は取付工事に際して内部機器に触れることのできる部分まで開放することは好まないはずですから、従来の規格と同様の独立した端子箱を設けました。


§防爆について§

労働省で定める工場用の電気機械器具防爆構造には耐圧、内圧、安全増、油入、本質安全、特殊、粉じん防爆普通防じん、粉じん防爆特殊防じんの8種類があります。また、その規格に適合する電気機械器具と同等以上の防爆性を有するものとして新たに耐圧、内圧、安全増、油入、本質安全の5種類を定めています。その新しい5種類には防爆構造を示す記号として頭にExが付きます。
 すなわち、8種類の防爆構造のうちで5種類は2通りの規格があるわけですが、従来からあった電気機械器具防爆構造規格の一部を改正して取り入れられたものですから、大まかにいえば同じと考えてよいでしょう。
 耐圧防爆構造について従来のd2G4で表されるものと、新しいExdIIBT4とを比較してみますと、外部導線引込方式に大きな違いがあります。従来の規格では端子箱を独立した部屋として設けなければなりませんでしたが、新しい規格では端子箱なしに直接機器の容器内に引き込む方法や、ケーブルを外部に出しておく方法等もあります。また、従来の規格では爆発圧力に耐える容器強度でよかったのですが、新しい規格では外部からの衝撃に対する強度も要求されます。
 ですから、従来品に比べて独立した端子箱の分だけ小さくすることが可能ですが、外部からの衝撃に耐えるだけ頑丈にしなければなりません。
防爆記号のExは防爆構造を示す記号、dは耐圧防爆構造、IIは鉱山の坑内以外の工場等用、Bはガスまたは蒸気の分類、T4は温度等級を示し、ExdIIBT4となります。これは従来のd2G4に相当します。

     

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