電力用トランスデューサの誕生

宮道 繁
みやみち しげる
(株)エム・システム技研 取締役社長

 今から20年前、エム・システム技研はアナログIC(一般にオペアンプと呼ばれています)が量産化され始めたころに、計装用の信号変換器の小型化、プラグイン化を思いつき、当時はマクラにでもできそうな大きさであったものを、タイマー風の体裁にして発売して、変換器メーカーとしてのスタートをしたのでした。計装信号はすでにDC4~20mAがかなり普及していて、DDCを具体化するコンピュータやデーターロガーのような、デジタル機器も広く扱われていましたので、計装信号とはほとんどリップルのない信号であるのが当たり前で、何の疑問も感じませんでした。

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 せっかくコンピューターで計装設備を集中管理するのですから、工場内に数多く使われているポンプなどのモーターの電流管理もやれるようにしようと考え、計測用変流器CTの出力AC0~5AをDC4~20mAにするCT変換器を発売しました。これが大当たりで、まとまった注文がたくさん入りました。それに味をしめて、電力、周波数、力率など、今でいう電力用変換器も製品系列に加えることを考えました。
 ところがこの種の変換器は、計装機器の世界にはなく、配電盤用機器の世界にあったのでした。すでに市販されている電力用変換器を調査してみたら、出力信号はDC4~20mA出力ではなく、DC0~1mAとかDC0~5Vなどで、おまけにリップルが30%とか60%とか含まれていて、DCなのかACなのかと疑いたくなるようなもので、とてもコンピューターにインプットできるようなものではありませんでした。
 それで、はじめて電力用変換器

     

宮道 繁

《著者略歴》1958年 大阪大学通信工学科卒業後、(株)北辰電機製作所に入社。1972年(株)エム・システム技研を設立し代表取締役に就任。避雷器、信号変換器、分散形多重伝送システム、全電子式サーボアクチュエータなどを世に送り出し現在に至る。




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