このヒステリシス機能は、入力値が設定値付近でふらついた場合、接点がON、OFFを繰り返し、警報を頻発するのを防止するために必要です。

 5.警報設定器の選定方法

 普通は異常時に警報が出るよう設計しますから、表1のa接点が選ばれます。一方、もう一つ重要な条件があります。すなわち、停電時に警報状態にするか、非警報状態のままでよいかを決める必要があります。電源断時(停電)および入力異常時の双方の場合に警報を出すときは表2のb接点を選ぶことになります。この仕組みをフェールセーフと呼び、システムが安全サイドに動くように設計します。たとえば、プロセスの警報用で警報器とアナンシエータの電源回路が別系統である場合に、警報設定器用電源の断時にも警報信号を得るために有効な手段となります。
 ここで応用例として、実際の使われ方を例に機種の選定を説明しましょう。液体用のタンクがあり、ある温度範囲内に制御しなければならないとします。加熱機能(ヒータ)しかなく、冷却は自然空冷であるシステムを考えます。このシステムにおいて、警報設定器は下限設定値に達すると温度が設定より低いものとみなしてヒータをONにし、加熱をスタートします。上限設定値に達するとヒータをOFFにします。このような繰り返し動作を行う加熱制御では上下限警報器の下限警報をヒータのスタート信号に、上限警報をヒータのストップ信号に使用します。停電時は、ヒータが停止する方向が安全サイドですから、事象が起こるとヒータをOFFにする接点(上記の例では上限警報)を使うことになります。A・UNIT、AL・UNITの場合(表3参照)には、上限警報では警報出力コード2を、下限警報では警報出力コード4を選択することになります。
 また、冷却機能(クーラ)があるときは、ヒータとクーラのどちらかがONになるように設計すれば良いわけです(ヒータONとクーラOFFが同時、またヒータOFFとクーラONが同時)。
 また、同様の動作を1点警報でも行うことができます。この場合、片方の警報(上限または下限)の代わりにヒステリシス機能を利用することになり、ヒステリシス幅を変化できることが条件になります。
 また、4点警報の機種を使用した場合、上上限・下下限警報がありますので、上・下限警報を前述のように加熱冷却制御に用い、上上限・下下限警報を監視(警報)に用いる方法もあります。

 おわりに

 以上ご紹介した警報設定器のほか、現場と監視室とが離れている場合などには、電話回線を利用して警報状況を通報するテレカプラ(DKT)やテレカプラ・ミニ(22T)などがあります(『MS TODAY』創刊号および1992年11月号をご参照ください)。
 また、警報状況をICカードに記録し日報を作成したり、異常前後のデータ収集を行い、異常の解析用に便利な異常解析レコーダ(DKE)、ICカードレコーダ・ミニ(19AR)など種々の製品があります。ご用途に合わせてご使用ください。

     



















<前ページへ次ページへ>

*. 本ウェブサイト上に掲載されている情報は、掲載した時点での情報です。記載内容はお断りなしに変更することがありますのでご了承ください。

*. 本ウェブサイト上の表示価格には消費税は含まれておりません。ご注文の際には消費税を別途頂戴いたします。

MG 株式会社エムジー

Copyright © 1992 MG Co., Ltd. All rights reserved.