電源なしアイソレータは、2線式伝送ループ内のDC4~20mAまたはDC10~50mAの信号を絶縁してDC1~5VまたはDC4~20mAの信号に変換します。回路動作用電力は入力信号DC4~20mAから供給されます。したがって、電源配線は不要です。
 精度は±0.1%、応答時間(0→90%)は電流出力形で約15ms、電圧出力形で約0.5sです。また、入力インピーダンスは入力電流20mAのとき、電圧出力形で約250Ω、電流出力形では“230Ω+負荷抵抗”であり、受信抵抗をつなぐのと同様に取り扱えます。
 さらに、コモンモードリジェクションレシオが商用周波数で110dB以上あります。これは、入力コモンモードノイズが1/30万に減衰することを意味します。
 電源なしでどうして動作するのだと思われるでしょう。以下、その原理についてやや詳しく説明します。まず電圧出力形の場合、入力信号DC4~20mAを抵抗器Riによって受け、電圧を発生させます。
 スイッチS1を閉じトランスT1の一次側に電流が流れ込みます。一次側に流れ込んだ電流にともなって2次側にアイソレーションされたエネルギーが蓄えられます。スイッチS1を開きS2を閉じると蓄えられたエネルギーは、コンデンサで平滑されバッファアンプへ電圧として与えられます。これを交互に繰り返しバッファアンプから出力信号DC1~5Vを取り出します。スイッチS1、S2の開閉とバッファアンプ動作用の電力は発信器(OSC)から提供されます。
 電流出力形の場合も、基本的には同じ原理です。発信器を使いスイッチを動作することによりトランスを開閉し、交流信号をつくります。これをダイオードとコンデンサにより直流電流に戻し、出力DC4~20mAを取り出します。
 出力の受信抵抗が250Ωの場合、1MΩの負荷を4個並列に接続するだけで誤差は0.1%に達してしまいます。これに対し電圧出力の場合は、出力バッファアンプがついているため出力インピーダンスは10Ωと小さく、1MΩの負荷が20個接続されても誤差は0.1%以内です。
 電源なしアイソレータの機種は極めて豊富です。プラグイン構造のM・UNITでは、SNが用意されています。薄形プラグイン構造で省スペースのH・UNITではHSN、同じく薄形ラック収納構造としてはGSN、10・RACK、18・RACKには、10SN、18SNを用意しています。その他の各シリーズにもそれぞれTSN、KSN、FSNその他を揃えています。

     

設計者からのコメント


(株)エム・システム技研
開発部 副主任技師


 初期の電源なしアイソレータ(電流出力形)では負荷変動によって大きい出力変動がありました。これを抑えるため、いろいろ考えたあげく負荷抵抗変動に対する補正回路を追加しました。すなわち、出力電圧を検出して入力にフィードバックをかけています。このため、負荷変動に起因する出力変動は低く抑えられています。




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