世界のフィールドバス事情 第5回
ISAでのフィールドバスの標準化
(その4)



(株)エム・システム技研 開発部 主管技師

 ISA/SP50発行の“Draft Functional Guidelines”(1987年4月)に沿ってのフィールドバスに対する要求機能の説明を続けます。SP50ではプロセス制御分野でDC4~20mAを標準信号とする計器が使われている分野をH1と呼び、その環境をフィールドバスで置き換えることを検討しています。前回、H1でのフィールドバスの必須機能としてトポロジーと電気的環境について説明しました。今回はH1での必須機能として前回説明できなかったデータタイプ、接点入出力、伝送速度について説明します。

 1.データタイプ

 フィールドバスでは、少なくとも次の4種類の定数と変数に関するデータをサポートすべきです。(1)バイナリーデータ(16ビット長データおよび14ビット分解能のアナログデータに符号とデータの質を示す各ビットを付加したデータ)、(2)英数字データ(機器の機能の記述に使う)、(3)浮動小数点データ、(4)時刻。

 2.接点入出力

 プロセス制御ではセンサの信号やバルブの駆動量などのアナログ量を主に扱いますが、電磁弁の駆動や押し釦スイッチの状態のように離散量を示す接点信号も扱うことがあります。したがって、フィールドバスでも接点信号を取り込むことが必要になります。
 図1は簡単なバッチプラントの計装をフィールドバスで構成した例を示します。フィールドバス上には液の温度に相当するアナログ信号と現場操作釦の接点入力信号やバルブ駆動用の接点出力信号が乗っています。図1の接点入出力モジュールにどんな機能をもたせるか、またそうした機能のどの部分を標準化したら良いのでしょうか。接点信号処理に対するSP50の必要最低限の要求機能は次の通りです。
 “フィールドバスの規格では接点信号を扱えるべきです。また、フィールドバス対応の接点信号を処理できる機器では、接点信号は1点単位でも数点まとめても扱えるべきです。この場合、これらの機器が接点入力と接点出力の両方の機能を備えている必要はありません。接点出力に関しては、全点の同時出力以外に個別の接点ごとに出力状態を指定できる機能か、または出力状態を変えたくない接点への出力をマスクして残りの接点の状態を変えられる機能が必要です”
 この要求機能が検討された時点では、接点信号の処理機能としてはこれ以上のことは記述されていません。接点信号を取り込んだ後には、当然シーケンス制御機能が必要ですが、これに対する要求機能も具体的には記述されていません。

 3.伝送速度

 フィールドバスの伝送速度については、プロセスの計測値や制御出力値を各機器ごとに1秒間に10回伝送し、更新できるように決定すべきです。
 現状では、DCSは制御周期として1秒を採用しています。これでほとんどのプロセスの制御ができますから、0.1秒の制御周期があれば、早い応答性を必要とするプロセスの制御も可能です。

     


























<前ページへ次ページへ>

*. 本ウェブサイト上に掲載されている情報は、掲載した時点での情報です。記載内容はお断りなしに変更することがありますのでご了承ください。

*. 本ウェブサイト上の表示価格には消費税は含まれておりません。ご注文の際には消費税を別途頂戴いたします。

MG 株式会社エムジー

Copyright © 1992 MG Co., Ltd. All rights reserved.