世界のフィールドバス事情 第14回
ISAでのフィールドバスの標準化
(その12)



(株)エム・システム技研 開発部 主管技師

 フィールドバスのネットワークとしての位置づけ

 通信ネットワークについて、米国コーネル大、バーレー教授が興味深いことを論じています(Fortune国際版1993年5月17日号による)。
 “つい最近まで先進国の経済は、電力・モーター・内燃機関・電話などによって回転してきた。こうした電機・機械技術のインフラの出現が農業や宗教中心の社会から都市化した製造業中心の経済社会へのシフトを可能にし、企業の発展をもたらした。
 ここのところ、産業のインフラが変化しつつあることに気がつく。つまり、電気的パルスをデジタル的に符号化された情報に変えて、それらの情報を非常に遠くまで伝えることが可能になってきたため、徐々に電機・機械技術のインフラから計算機によるネットワーク技術のインフラへとインフラの変換が起きつつある。この影響は社会や生活のあり方を大きく変える可能性がある。”
 ここで述べられているネットワーク・インフラは、パソコンLANやパソコン通信などによる情報化社会の到来のことを言っていると考えられ、電機・機械技術のインフラとの比較でネットワーク技術のインフラの重要性が理解されます。
 こうした関連で、今回はフィールドバスのネットワークとしての位置づけについて考えてみます。ISA/SP50ではフィールドバスの規格化を始めるにあたり、フィールドバスの適用分野としてH1とH2を定義しました。H1は4~20mA計器が使われている分野を対象として、その環境をフィールドバスで置き換えることを意図しています。H2はH1の分野をさらに拡大し高速のシーケンス処理を行う分野を対象にしたものです。
 しかし、最近の規格審議の過程では、初期の定義に比べてH1、H2のスコープ(適用範囲)が広がってきています。すなわち、両者ともタイムクリティカルなアプリケーションを対象とし、FA分野のアプリケーションをもフィールドバスの対象とするようになってきました。そして、H1は現場機器とコントローラ間のネットワーク、H2はコントローラ間のネットワークをして位置づけられるようになりました。H2は、H1のフィールドバスを束ねて処理できるようにH1より高速なネットになっています。
 おもに大規模なFAプラントの自動化で提唱されているMAPやミニMAPは生産管理のネットワークであり、フィールドバスより上位に位置づけられます。

     




























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