計装豆知識

0~10,000Vの電圧信号よりもノイズに強い
DC4~20mA電流信号

 計装用統一信号に電流信号が用いられるようになったのは、空気圧信号に比べ応答遅れがないこと、めざましい進歩をとげる電子技術を駆使した受信計器やコンピュータと組み合わせてシステムを構成する必要からであることは間違いありません。しかしそれだけでなく、DC4~20mAのような電流信号を用いれば、電力設備が発する大きなノイズ電圧に対しても、非常に安定した高い精度で伝送できる点も見逃すわけにはいきません。

 ノイズの及ぼす影響

 簡単な計算で、そのノイズに対する強さの目安が得られるので紹介しましょう。
 電圧信号0~10Vの伝送ラインに10Vのノイズが乗ったとすると(図1上)、受信電圧としては信号電圧に匹敵するノイズ電圧が現われる結果になります。電流信号DC4~20mAを伝送するラインに10Vのノイズ電圧が発生した場合を考えてみましょう(図1下)。電流出力形変換器の出力端子からみた変換器の抵抗値は通常1MΩ以上で、5MΩ程度あるのが普通です。したがって受信抵抗250Ωにノイズ電圧10Vによって流れる電流値は、I(A)=V(V)/R(Ω)より
 I=10(V)/106(Ω)=10-5(A)=0.01(mA)
となります。その結果、ノイズは信号20mAの1/2,000以下で、まったく測定上問題にならないことがわかります。10Vのノイズ電圧が1/2,000しか影響しない電圧信号は10Vの2,000倍、すなわち0~20,000Vということになります(ただし、ノイズ電圧が電流出力形変換器の出力回路にあるトランジスタの耐圧限界35V以下であることが必要です)。

 動力関係信号との対比

 電力計測用の信号を考えた場合、PTの出力AC0~150VでさえDC4~20mAに比べたら比較にならないほどノイズに弱い信号であるといえます。ましてCTの出力になると、回路抵抗が低いのと許容回路抵抗値が低いので、遠隔指示が難しく、これらの集中管理には正確にDC4~20mAに直接変換できるM・UNIT変換器が有効に活躍します。

 信号レベルとリード線

 電流信号がノイズに強いことを裏付ける例として信号レベルとリード線との関係があります。DC0~10mVの電圧信号は数mリード線を引くだけでも、シールド線を用いたうえに1点接地する接地点を正しく選ばなければ正確な計測は難しく、DC0~1Vでも配線にはシールド線を用いる必要があります。
 それに対し、DC4~20mAの電流信号はNTTの専用回線(心線は細く、シールドもしていません)を用いて、はるか彼方の受信地点での計測を正確に行えます。

 電流信号の伝送距離

 電流信号の場合、許容負荷抵抗が示されています。M・UNITは0~750Ωとなっています。これは信号伝送ケーブルに許される抵抗値のことで、通常のケーブルですと10~30kmにあたります。
 0.5φケーブル 100Ω/km
 1.25φケーブル 約18Ω/km
 2.0φケーブル 10Ω/km
(いずれも往復の抵抗値です)

     
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