世界のフィールドバス事情 第15回
ISAでのフィールドバスの標準化
(その13)



(株)エム・システム技研 開発部 主管技師

 ブリッジについて

 プロセス制御用の伝送速度31.25kbit/sのフィールドバスでは、DC4~20mA信号を使用したアナログ信号による計装方式と同様に2線式の計装方式がとれます。すなわち、2本のワイヤを使い計器室から現場計器に電源を供給しつつ、その同じワイヤによって計器室内の制御装置と現場計器間の信号伝送を行えます。このバスラインには、本質安全防爆に対応する必要のない計器の場合、物理層の規格では最低12台の計器が接続できます。
 こうした接続ノード数の制限からフィールドバスを使用する計装では、大規模システムでなく通常規模のシステムでも多数のフィールドバスが使われることになり、制御プラントに合わせてバスの割り付け方法を検討する必要が生じます。
 DCSシステムのエンジニアリングでは、プラントのP&ID(*)を基にユーティリティ制御やプラント本体の制御などの機能単位ごとに必要なI/Oカード数を割り出し、制御ステーションの台数を決めています。フィールドバスの割り付けの場合も同様にして必要なフィールドバスの本数を割り出して制御システムが設計されます。
 1本のフィールドバスに接続できる計器の数が12台程度であるため、アプリケーションによってはバス間の情報交換が必要になります。こうした背景からISA/SP50のフィールドバスの規格では、データリンク層にブリッジと呼ばれる機能を備えています。
 ブリッジとは、OSIの7層からなる全通信スタックを実装することなく、その一部の物理層とデータリンク層だけを実装することにより異なるフィールドバス(セグメントが異なるフィールドバス)の接続を可能とする装置です。SP50のデータリンク層の規格案では、異なるセグメントの指定やそのセグメント内でのノードをアドレスできる仕組みを織り込んでいます。
 SP50のブリッジではさらに次の特長を備えています。
 I.各セグメント間の時刻のコーディネーションを行えます。
 II.現場計器には、普段は省電力を計るためフィールドバスの通信に参加せず、目を覚ませという指示コマンドを受けて通信に参加するタイプの計器の出現が予想されます。こうした計器が、別セグメントに属している場合は、ブリッジから目を覚ませというコマンドを送ることができ、現場計器の目を覚めさせて通信に参加させることができます。
 ブリッジは、低速のフィールドバスを束ねて高速のフィールドバスに変換する用途にも使われます。また、通信メディアの異なるフィールドバスを接続する場合にも必要になります。
(*)Pipe&InstrumentDiagram

     























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