世界のフィールドバス事情 第6回
フィールドバスの国際会議に出席して



(株)エム・システム技研 開発部 主管技師

 ここ数年ISA(Instrument Society of America)とIEC(International Electrotechnical Commission)は共同でフィールドバスの規格作成のための国際会議を年間3、4回程度開いています。今回、米国のフロリダ州中部のオーランドで1992年11月16日から21日まで開催され会議に出席したので興味をもった話題についてお伝えします。毎回、会議には米、欧、日の計装メーカーや米国の石油精製、石油化学のユーザーを中心に80人程度が参加しており、今回も同様でした。会議では1日目に総会を開き、その後サブ委員会に分かれて規格を審議します。今回の総会で発表された話題の中で興味をもった2件について以下説明しましょう。

 1.ISAでのフィールドバス

 物理層の規格完成
 ISAのこれまでのフィールドバス規格審議の成果として、フィールドバスの媒体に電線を使用した物理層の規格が完成し正式に発行されたことが報告されました。規格の正式名称は次のとおりです。
Fieldbus Standard for Use in Industrial Control Systems Part2:Physical Layer Specification and Service Definition ISA-S50.02-1992 Approved September,1992
 フィールドバスの媒体としては、電線以外に無線や光ファイバもあり、これらについては、継続審議中です。発行されたばかりの規格は表紙が緑色をしています。目次を見ると、フィールドバス全体の規格は全8部から構成され物理層の規格はその第2部を構成していることがわかります。まだ以下にあげる未完成部分があり、特に第5、6、7、8部の審議はあまり進んでいませんから規格化完了までには今後長い時間がかかりそうです。
 第1部 入門ガイド
 第2部 物理層仕様とサービス定義(完成)
 第3部 データ・リンク サービス定義
 第4部 データ・リンク プロトコール仕様
 第5部 アプリケーション サービス定義
 第6部 アプリケーション プロトコール定義
 第7部 フィールドバス 管理
 第8部 適合試験

 2.DIASプロジェクト

 フィールドバスの実証試験は世界各地で計画されています。今回、米国のシェブロンや英国のBPでのフィールドバスの実証試験の計画が発表されました。また、フィールドバスではあまり聞きなれないイタリアから、同国の電力会社(ENEL社)でフィールドバスの評価試験が既に行われたことが発表されました。
 DIAS(Distributed Intelligent Actuators and Sensors)プロジェクトは1989年4月1日に開始し1992年7月31日に完了したイタリアのENEL社を中心としたイタリア、ポルトガル、ベルギー、アイルランド、独、仏の共同研究プロジェクトです。このプロジェクトでは、イタリアの電力会社の発電設備である高圧熱交換器ユニットの計装にフィールドバスを使用しその効果を現場で評価しました。評価システムは、各国の計装メーカーが開発した現場機器と制御機器を二重化したFIPフィールドバス(仏が提唱しているフィールドバス)につないでプラントの制御監視系として構成されていました。
 この評価試験によるフィールドバスに対する要望の例として、フィールドバスの設置基準の明確化やフィールドバスを使用した制御系の構成が楽にできるようソフトウエア・ツール開発の必要性などが認識されたとの発表がありました。

     




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