世界のフィールドバス事情 第7回
ISAでのフィールドバスの標準化
(その5)


鳥取 輝美
とっとり てるよし
(株)エム・システム技研 開発部 主管技師

 ISA/SP50発行の“Draft Functional Guidelines”(1987年4月)に沿ってフィールドバスに対する要求機能の説明を続けます。SP50ではプロセス制御分野でDC4~20mA計器が使われている分野をH1と呼び、その環境をフィールドバスで置き換えることを検討しています。前回までで、H1で必須とする要求機能の説明を終えました。今回からはH1において実現するのが非常に望ましいと考えられている機能について説明します。SP50では、このような機能について優先度の高い順に約30項目があげられています。ちなみに、最初の10項目は以下のようになっています。
 1.フィールドバスの実装
 2.プロトコルの実力
 3.ハンドヘルド コミュニケータ
 4.現場計器の状態把握
 5.第2のプロセス計測値(アナログ値)
 6.コミッショニング データの記録
 7.追加したいデータ タイプ
 8.ユーザが定義できるデータ タイプ
 9.異なる伝送速度
 10.コンフィギュレーションの変更
あげられている機能の大部分については、それを実現するために制御機器・現場機器間の双方向の通信が必要になります。ちなみに、必須要求機能の実現のためには、双方向の通信は必要としていません。今回は、第1、第2項目について説明し、残りについては絞って次号以降で説明します。

 1.フィールドバスの実装

 フィールドバスは、鉄鋼業や石油化学などのプラントや自動車、電機、電子産業などの生産プラントの制御システムで使われます。これらのシステムでは、常に安全性と信頼性が確保されていなければなりません。このため、フィールドバスを現場機器に実装するに際しては、信頼性の高い部品を使用し、部品点数を少なくすることが望まれます。

 2.プロトコルの実力

 フィールドバス用通信機能はセンサやアクチュエータなどの現場機器に組み込まれ、計器室にある制御装置との間の通信に使われます。現場機器に通信機能を組み込むとなれば、その通信機能は効果的であるとともにローコストであり、現場機器の価格を大幅に引き上げないことが要求されます。フィールドバスが使われるこのような背景から、制御装置間の通信で使われる高性能で多機能な規格、たとえばMAP規格とはプロトコルの性格が異なります。したがって、フィールドバスのデータを制御装置間の通信で使用するためには、制御装置内でデータを制御装置間通信プロトコルに合うように変換する必要があります。
 フィールドバス用プロトコルとしては、このような変換がやりやすいものであることが望まれますが、一方上に述べたフィールドバスの使用環境の制約についても十分考慮されたものでなければなりません。

     











































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