世界のフィールドバス事情 第8回
ISAでのフィールドバスの標準化
(その6)



(株)エム・システム技研 開発部 主管技師

 ISA/SP50発行の“Draft Functional Guidelines”(1987年4月発行)に沿ってのフィールドバスに対する要求機能の説明を続けます。SP50では、プロセス制御分野でDC4~20mA計器が使われている分野をH1と呼び、その環境をフィールドバスで置き換えることを検討しています。今回は前回に続いて、H1に対して実現することが非常に望ましい機能について説明します。

 1.ハンドヘルド コミュニケータ

 フィールドバスの規格では、ユーザーが手軽に携行でき、現場機器との間で通信が行える機器(ハンドヘルド コミュニケータ)を備えていることが望まれます。このような通信機器は少なくとも次の3ヵ所で使用できることが必要です。
 I.現場機器の設置場所
 II.現場のジャンクション ボックス
 III.計器室内の現場配線用の接続盤
 なお、ハンドヘルド コミュニケータは、現場機器と通信する際に、現場機器・制御機器間の通常の通信を妨げてはなりません。また、機器の電源供給については機器内に備えた電源から供給しても良いし、フィールドバスから供給できるのであれば、その方式でも結構です。

 2.副次的なプロセス計測値

 将来の伝送器は、1変数の計測値を伝送するだけでなくこの計測値に付随する副次的な計測値も伝送できるようになります。たとえば差圧伝送器では、差圧を検出して伝送するほかに絶対圧も計測して差圧と絶対圧という2点の計測値を伝送できます。フィールドバスの規格としては、副次的な変数を最低8点伝送できることが望まれます(図参照)。

 3.コミッショニング データ

 プラントのスタートアップ時には計装設備のコミッショニング作業の一環として計装ループのチェック作業が行われます。この場合、機器のタグナンバや製造番号、またレンジの仕様などを機器内の不揮発メモリに書き込むことができれば、ループチェック作業がより簡単に行えるようになります。フィールドバスの規格では、このような機器内のデータにアクセスできることが望まれます。

 4.伝送速度について

 1秒間に10回以上データを読み込める高速の伝送速度の実現が望まれます。一方、たとえばモデムや電力消費に制限があるアプリケーションでは、遅い伝送速度の規格も必要です。

 5.接続ノード数

 通信メディアに物理的に接続できるノード数は少なくとも32台あることが望まれます。また、論理的なアドレス(1つのフィールドバス上に登録できるアドレス)の数は256以上あることが望まれます。論理的なアドレス数が物理的に接続可能なノード数より多いのは、将来の通信技術や素子の進歩に伴って物理的な接続数が増える可能性があり、それに対応できるようにするためです。
 次回も、望ましい機能の説明を継続します。

     




























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