多目的計装コンポーネントMsysNetシリーズ
MsysNetシリーズとスーパーDCS
連載 第1回



(株)エム・システム技研 取締役開発部長


 はじめに
 MsysNet(エムシスネット)シリーズは、ワンループ単位に分散したスーパーDCS(超分散形制御システム)を含む多目的の計装コンポーネントです。計装システムのダウンサイジングという問題に対するエム・システム技研からの回答の1つであり、本年10月の国際計測工業展には、シリーズの全機種を発表する予定です。今月号から、6回にわたってその概要を本誌で紹介します。
 次世代DCSとしてフィールドバス システムが提案されています。「当社のユーザー各位にとって、フィールドバスが次世代のDCSになり得るのか」という疑問から出発し、「次世代のDCSは、パソコンを中心にしたスーパーDCSであろう」という結論に到達しました。第1回は、この推論の過程を紹介したいと思います。

 1.パソコンはDCSの主役

 量産品は安くて、高信頼度、高機能

 アメリカの事務用コンピュータ業界では、数年前からパソコンによるダウンサイジングが進行しています。これまでは、汎用コンピュータを中央に置いて、各部門からは専用端末で入出力するだけで、すべてのデータの仕分けや集計は、高速・高性能な中央のコンピュータで行ってきました。しかし、ここにきて高性能化したパソコンをネットワークで接続して、各パソコンに適度な作業を行わせる方が、コスト的にも性能的にもずっと有利なことに気づいたからです。
 ここに使われるパソコンは、1年前から急激に価格が下がり始めました。日本円に換算して10万円以下で買えるパソコンでも、20年前の汎用コンピュータ(IBM社のS/370など)より高性能です。
 皆様は、1社で年間数100万台生産されているパソコンと、年間1,000台そこそこ生産されている工業用コンピュータ(DCSの表示部や工業用パソコン)のどちらが信頼性が高いとお考えでしょうか?
 たとえば、1,000台当たり1台発生する不良について考えてみます。工業用コンピュータの工場にとって、1年に1回程度発生する不良は、偶発故障として処理されるでしょう。一方、月産10万台のパソコン工場では、毎月100件の発生率になりますから、徹底的に原因が究明されます。このように、あらゆる種類の量産品は、量産することによって品質が大きく向上します。
 もっと身近な例を考えてみます。10年前の当社の変換器の生産台数は、月産2,000台でした。現在は、その10倍の月産2万台になっています。ところが、月間の故障件数の絶対値は同じ水準で推移しています。故障率でみれば、10分の1になったことになります。これも生産台数が増えると品質がよくなる実例です。
 工業用コンピュータに比べてパソコンは信頼性が低いという話をよく聞きます。でも、この考え方はこれからは急激に変ることでしょう。
 専用コンピュータがパソコンに置き代わる例は、計装以外の分野ではすでに始まっていて、転換が終わった例もたくさんあります。パソコンの高性能化と価格低下に専用コンピュータが追いつけなくなったからです。
 CAD(Computer Aided Design=コンピュータを使って設計を行うシステム)は、専用コンピュータを使用していた代表的な例です。最近は、パソコンで実現できるようになり、高価な専用機は使われなくなっています。

     
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