世界のフィールドバス事情 第10回
ISAでのフィールドバスの標準化
(その8)



(株)エム・システム技研 開発部 主管技師

 前号まではISA/SP 50発行の機能ガイドラインに沿ってフィールドバスに対する要求機能について説明してきました。今回からは要求機能に基づくISAでのフィールドバスの規格化の状況について説明します。プロセス制御の分野では、フィールドバスはセンサやアクチュエータなどの現場機器と計器室にある制御機器間の通信ラインとして使われます。ISAでのフィールドバスの規格は、ISO(International Standards Organization 国際標準化機構)のOSI(Open Systems Inter-connection 開放型システム間相互接続)基本参照モデルに基づいて開発されています。まずこのモデルの概要を説明しましょう。
 OSIの基本参照モデル(ISO 7498-1984、JIS X 5003-1987)
 異なるメーカー製のコンピュータ同士で通信しようとすると、互いにハードウェアの仕組みが異なり、使用しているソフトウェアも異なるため、一般的にその実現は容易ではありません。そこで、異なるコンピュータ同士での通信に関する取り決めが必要になります。こうした取り決めを定める際のモデルとしてOSIの基本参照モデルが国際規格となっています。このモデルは、通信機能として定義すべき内容を次の7階層に分けています。通信に関する取り決めはこれらの層の内容を具体的に決めることに相当します。

 (1)物理層

 通信路の物理媒体として電線、光ファイバ、無線などが考えられます。この層では通信路として使用する媒体や通信路の構成方法などを規定します。また通信路と送受信する局との物理的な接続方法、伝送信号、伝送速度なども規定します。

 (2)データリンク層

 物理的な通信路上には外部からノイズが乗ってくることがあります。このため誤ったデータが伝送されることは避けられません。この層では、誤った伝送データを検出する方法および誤りを検出したときの具体的処理方法(たとえば、データを再度送る)を決め、ソフトウェアにより通信路の信頼性の向上を図ります。1本の通信回線上に多数の局が接続される場合には、それぞれの局がデータを送信するために回線を占有する必要があります。回線の占有に関する効果的な制御方法の決定もこの層の役割です。

 (3)ネットワーク層

 遠距離間のコンピュータ通信では、公衆電話回線や専用電話回線、あるいはデジタル通信網などのネットワークを活用することが考えられます。この層では、ネットワークを経由して行う通信でのデータ伝送経路の選択や中継の方法を規定します。また、ネットワークとの接続規約もこの層で定められます。

 (4)トランスポート層

 ネットワークを経由した通信の品質、たとえばデータの転送時間やビット誤り率などを指定して、指定された品質に合うネットワークの選択を行います。

 
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 残りの層については次号で説明します。

     



























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