コントローラは設定値以上に温度が上がったと判断し、温度を下げる方向に働きシステムを安全サイドに動作させることができます。このような機能をバーンアウト機能と呼んでいます。
 熱電対が断線したときに出力が上方か下方のどちらへ振り切れたら安全かは、システムにより異なりますから、カップル変換器ではどちらでも製作可能になっています。
 バーンアウト機能は、図9に示すように熱電対が断線したときに入力がオープンにならないよう抵抗RBを通じて+または-の電源に接続することによって実現されます。
 この抵抗RBは、熱電対が正常なときには熱電対そのものに電流を流すことになって誤差の要因となりますので、できるだけ大きい抵抗値を使用します。
 エム・システム技研のカップル変換器はこのバーンアウト検出電流が0.1μAと非常に少ないので、入力配線が長距離のときにも精度良く測定することができます。

 5.リニアライザ

 熱電対の温度に対する熱起電力は、直線的に変化しません。たとえば、K熱電対で測定範囲を0~1,200℃とすると直線との最大偏差は約1.5%に達します。そこで、これを補正するわけですが、そのことをリニアライズといいます。リニアライズの方法にはアナログ方式とデジタル方式があります。

 (1)アナログ方式

 アナログ方式は、図10の点線のように、入力をいくつかの区間に分けて、その区間内を直線として近似します。この方式を折線近似方式といい、エム・システム技研では7折線(一部5折線)を使用しています。
 この折れ曲がり点の間隔は、曲がりがきついところは密に、緩いところは粗くした方が良いのですが、エム・システム技研ではコンピュータを使用して誤差が最小になる間隔を熱電対の種類や測定温度範囲に応じて求めています。

 (2)デジタル方式

 マイコンを使用した変換器では、10℃ごとの熱起電力を熱電対の種類ごとにテーブルの形で内部に記憶しておき、10℃の間はアナログ方式と同じように直線で近似して求めています。つまり1,000℃を測定範囲とするとアナログ方式の100折れ線に相当することになります。この方式によりエム・システム技研のスペックソフト形変換器JXシリーズでは、リニアライズ精度を±0.05%より良くしています。

 6.熱電対の配線方法

 温度を測定する場所と変換器が置かれる場所の間は普通、離れています。ここで熱電対と変換器の間を一般の銅線で接続すると、両接点間に温度差があれば新たに熱電対が形成されたことになり、誤差を生じます。そこで、この配線には熱電対とほぼ同じ熱起電力特性をもった補償導線が使用されます。補償導線はJISで規定されており、熱電対の種類ごとに用意されています。
 また、熱電対から出力される起電力は数10mVと非常に低いため、外部からのノイズの影響を受けやすく、変換器までの配線には以下の注意が必要です。
 I.変換器までの配線をできるだけ短くする。長距離配線が必要なときは、変換器の出力を電流出力にし、出力側の配線を延ばすようにする。
 II.ノイズ発生源からできるだけ離す。
 III.2本の線がより合わされた補償導線を使用する。
 IV.シールド付の補償導線を使

     























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