℃の起電力が得られる訳です。 このことを冷接点補償といいます。 3.冷接点補償の方法 カップル変換器では、冷接点補償の方法が精度に直接影響するため、正確な端子温度測定が要求されます。とくに測定温度範囲が狭いときには非常に重要なポイントとなります。 冷接点補償には以下のような方法が考えられます。 (1)隣の端子に冷接点センサを取付ける(図4) 長所:接続が容易 欠点:風の影響を受けやすい 誤差:±2.5℃程度 (2)冷接点センサ内蔵形(図5) 長所:冷接点センサの接続作業が不要 欠点:内部温度上昇の影響を受けやすい 誤差:±3℃程度 (3)端子密着形(図6) 長所:精度が良い 欠点:冷接点センサと熱電対を重ね止めする必要がある 誤差:±0.5℃以下 エム・システム技研のカップル変換器は、この端子密着形であることはいうまでもありません。冷接点補償方法にはこのほかにもさまざまなノウハウがあります。熱伝導性の良い金属製取付板を使用したり、センサ全体を熱容量が小さくなるように小形に作るなどです。また、冷接点センサ自体についても直線性に優れたものを使用する必要があります。 エム・システム技研では冷接点センサにトランジスタを使用しています。これはトランジスタのベース-エミッタ間順方向接合電圧(VBE)の温度による変化が良好な直線性を有していることを利用したものです。 (4)端子密着形+温度補正(図7) 長所:精度がとくに良い 欠点:マイコンを使用するため高価 誤差:±0.2℃以下 冷接点の温度を正確に測定しても、その温度に対する熱起電力は熱電対の種類によって異なります。そこで、その違いを熱電対の種類ごとに補正すれば、さらに冷接点補償を精度良く行うことができます。 エム・システム技研のマイコンを使用したスペックソフト形(JXシリーズ)カップル変換器ではこの方法を採用し、熱電対の全種類にわたって冷接点補償精度0.5℃以下を実現しています。 冷接点補償に関してこんな話があります。アメリカ合衆国アリゾナ州ユマの砂漠にある米軍の試験場で使う熱電対変換器に、アメリカの何社かの変換器を使用しましたが、ご存知のように砂漠の温度変化は激しく、使い物になりませんでした。そこでエム・システム技研のカップル変換器を使用してみたところ、非常に良い結果が得られたということで、その後50台の追加注文がありました。 4.バーンアウト 熱電対は高温で使用するため、酸化などの原因により、焼損(バーンアウト)することがあります。温度制御を行っているシステムで熱電対が断線すると、非常に危険な状態が発生します。 たとえば、図8のように炉の温度をコントロールしているシステムで熱電対が断線すると、バーンアウト検出機能がない場合、変換器の出力はゼロの方向へ落ちてしまうので、コントローラは設定温度より温度が下がったと判断し、温度を上げる方向(燃料を増やす方向)へバルブが動くように信号を出力します。すると温度がますます上がり、ついには危険な状態になってしまいます。熱電対が断線すると出力を100%以上に振り切れるようにすることによって、 |
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