世界のフィールドバス事情 第13回
ISAでのフィールドバスの標準化
(その11)



(株)エム・システム技研 開発部 主管技師

 1.プロセス制御向けフィールドバスの物理層

 ISAのフィールドバスの物理層の規格の説明を続けます。この規格は、通信媒体を電線とした場合、プロセス制御用にもFA用にも対応できるように伝送速度の異なる規格が定められています。その中で最初に普及すると考えられるのは、伝送速度が31.25kbit/sのプロセス制御に適した規格です。
 フィールドバスに対する最も基本的な要求機能は、マルチドロップのシリアル通信ができることです。前回の説明で、そうした機能は広く普及しているシリアル通信の規格であるEIA(Electronic Industries Association 米国電子工業会)のRS-485規格を採用することにより実現できるのに、プロセス制御用の物理層の規格ではこの規格を採用せず、独自の規格を開発したと述べました。その理由は、プロセス制御用のフィールドバスの機能として、上で述べた基本的な機能のほかに、次にあげる機能が必要であり、RS-485の規格ではこれらの機能を満足できないためです。
 I.現場機器に対する電力供給ラインと信号ラインの共有
 II.本質安全防爆計装への対応
 DC4~20mAを使用したアナログ電流伝送方式の利点として、電力線と信号線を共有でき、2線式の伝送方式が可能な点があります。こうした優れた計装方式は、プロセス制御向けフィールドバスの構成方式にも受け継がれています。

 2.フィールドバスの構成方式の概要

 (1)ネットワークの構成

 DC4~20mAを使用したアナログ電流伝送方式では、計器室に現場機器へ電力を供給するための電源を置きます。フィールドバスの場合も同様に現場機器を駆動するための電源を計器室に置きます。フィールドバスのネットワークは、電源、リアクタ、バリア、現場機器、コントローラ、ターミネータなどから構成され、図1のバス型か図2のツリー型のトポロジーの形態をとります。ここでリアクタは、直流電源の高周波成分がフィールドバスに乗り、信号に悪影響を及ぼすのを防ぐために使用します。

 (2)フィールドバスの駆動電源

 バスに接続される機器はその電源電圧仕様がDC9~32Vであれば動作します。
 現場機器がフィールドバスに接続され、フィールドバスから機器の供給電源を受け取るには、フィールドバスの変動する電圧を受け取って現場機器内で平滑し、送受信回路の駆動に使えるようにする仕組みが必要です。こうした点が検討されてフィールドバスの駆動電圧の最低値としてDC9Vが決められています。

     



























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