世界のフィールドバス事情 第17回
ISAでのフィールドバスの標準化
(その15)



(株)エム・システム技研 開発部 主管技師


シェブロンでのフィールドバスの実験計画について

 実プラントでのフィールドバスの実験は、石油精製のメジャーが積極的に実行しています。現場実験によりフィールドバス導入に対する技術面、操作面の実践的なノウハウが得られます。たとえば、エクソンはすでに1991年に米国ニュージャージー州の既設プラントでIEC/ISAフィールドバス規格の物理層を試験し、良好な結果を得ています。
 同じく石油メジャーであるシェブロンでもフィールドバスの現場試験を計画しています。今回は、シェブロンのE.スカボスキー氏が1993年7月、米国フィラデルフィアで開催されたIEC/ISAのフィールドバス規格審議委員会の場で発表した同計画の内容を紹介しましょう(ISAの議事録ISA/SP50-1993-501による)。
 スカボスキー氏は永くSP50ユーザー層小委員会で活躍し、フィールドバスの規格化に関して石油精製、石油化学の分野から見たアイデアを提案しています。
 計画内容は、1992年11月のIEC/ISAのフィールドバス委員会で最初に紹介されています。そこでは、従来からサイトの計装に関してシェブロンとの付き合いが深いベンダーからの機器を使って実験を行いたいと発表しています。その後、ISPやWorldFIPが組織化されたので、両者の技術に基づくフィールドテストを行うことに計画を変更しています。また、現状ではISPの技術による計画が先行しているそうです。実験サイトとしては米国カリフォルニア州にある石油精製プラント(下図)とルイジアナ州にあるケミカルプラントの2箇所を選んでいます。前者ではレベル制御、流量制御、比率制御やフィードフォワード制御などのアドバンスト制御を試す計画です。また、後者では、スプリットレンジのタンクの温度制御、ポンプの吐出圧制御を試す計画となっています。なお、実験は1994年4月から12月の間に実施する予定です。
 実験計画の内容をみると、フィールドバスの通信機能の試験よりは、むしろフィールドに制御機能を分散する効果を重点的に評価しようとしています。フィールド機器に埋め込む機能としては、基本PID制御機能のほかにアドバンスト制御機能も計画しています。この点で非常に意欲的な計画と言えます。この実験のために種々のインテリジェント形の現場機器の開発が必要です。実験が進み、その結果がIEC/ISAのフィールドバス委員会に発表されれば、フィールドバスの国際規格の審議に大いに役立つと考えられます。

     






















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