世界のフィールドバス事情 第26回
ISAでのフィールドバスの標準化
(その23)



(株)エム・システム技研 開発部 主管技師

 
 フィールドバス機器の初期設定

 フィールドバス機器を初めてフィールドバス(以下バスと略称)に接続し通信を開始するには、機器の初期設定を行う必要があります。今回は、こうした場合の操作方法やその操作方法を実現するための機能について論じたローズマウント社のJ.Warrior氏の論文(FMS Protocol-Function Blocks、ISA/SP 50-1990-381 Attachment F、1990年発行)に沿って考えてみましょう。
 ここでは、フィールドバスシステムの立ち上げ時にユーザーが行う操作方法の基本方針として、ユーザーは機器のタグ名の操作は行いますが、バス上の通信で必要な機器のアドレスは直接設定しないこととしています。この方針を実現するため、フィールドバス上のマスターとなる機器がアドレスの設定を行います。また、すべての機器が通信によるアドレス設定を受け付ける機能を備える必要があります。この方式では、機器個別のアドレスは目に見えるハードウェアで設定されることなく機器のメモリ中に設定されます。
 フィールドバス機器のバスへの接続方法に関して次の方法が提案されています。最初に機器をバスに接続せずに、オフラインで機器のデータベースの設定と初期化作業を行います。次にバスに接続してオンラインで機器のアドレスを設定します。各ステップでの大筋の手順は次のようにしています。
 まず、初期化を終えていない機器にはあらかじめメーカーにより製品の製作時に仮のアドレスが一時的に設定されるルールとします。またオンラインで作業を終えるまで初期設定を終えていない機器はバスに自分から積極的に話しかけず、他のノードから話しかけられれば答えるスレーブ状態を保つルールとします。
 (1)オフライン作業
 この作業はハンドヘルド・コミュニケータ(HHC)などの機器のデータベースを設定できる装置を初期設定の対象機器へ接続することにより行います。この場合、HHCはバス上を流れるデータを最初に観測します。バス上には、データを流している機器がないので、HHC自身がバス上にデータを流せるマスター機器となります(図1)。
 (2)機器の初期化
 HHCは初期化が実行されていない機器用の仮のアドレスに問い合わせます。機器から返答があれば初期化の済んでいない機器が存在していることを認識します。そこで、その機器へ機器のタグ名を書き込みます(図1)。
 (3)オンライン作業
 バス上には、ネットワーク上のすべてのノードの構成情報を持つマスター機器が必ず存在することとします。その機器が(1)、(2)のステップを終えた機器の仮のアドレスに機器の様子を問い合わせると機器の製造情報(メーカー名、製品形式、製造番号など)やタグ名が返答されます。返答されたタグ名がシステム全体のタグ名とだぶらなければマスター機器は該当機器の正式なアドレスを割り付けます(図2)。

     




























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