計装豆知識

電空変換器には、0.01ミクロンのフィルタを

 常識も進歩します

 5~6年前までの常識では、空気源用フィルタのろ過度は「2~5ミクロン」と相場が決まっていました。しかし、現在はろ過度「0.01ミクロン」のフィルタを使用するようになっています。

 目詰まりを起こさないか

 「0.01ミクロン」のフィルタがあるという話を初めて聞いたとき、まず考えるのは、「すぐに目詰まりを起こして、使いものにならないのではないか」ということでしょう。
 ろ過度「2~5ミクロン」のフィルタの場合は、小さな金属のボールを焼結したろ過エレメントを使っています。ろ過の原理は、金網のフィルタと同じです。この原理でろ過度を小さくして行けば、目詰まりの起きる度合いが急激に高まるのは当然です。
一方、「0.01ミクロン」のフィルタは、マイクロ ミスト セパレータなどと呼ばれ、ろ過原理が異なります。これらのろ過エレメントにはガラスファイバが使用され、次の3種類の原理を複合したろ過が行われます。
 I.カーボンやオイルミストの大きなものは、繊維と繊維の隙間に引っかかる。
 II.それ以下のものは、慣性衝突(質量の大きな粒子が空気の流れに追従できず、障害物である繊維に衝突する)により繊維に捕捉される。
 III.さらに小さなものは、ブラウン運動(流体中に懸濁している微粒子の不規則運動)によって繊維に捕捉される。
 このため、微小粒子がろ過できるにもかかわらず、目詰まりは非常に起こりにくくなりました。

 なぜ「0.01ミクロン」のフィルタが必要か

 30年以上前から作られている直動式電空変換器は、オリフィスやフラッパの寸法が大きいため、このようなフィルタを使用しなくても、そこそこの故障率ですんでいました。
 ところが、エム・システム技研が標準ラック幅に16台収納できる超小形の電空変換器(形式:HVP)を業界で初めて開発したとき、カーボンの堆積による故障が発生しました。ユーザーによっては全く発生しないところもあり、原因がカーボンリング式オイルレス コンプレッサであることは、すぐに見当がつきました。
 カーボンリング式コンプレッサを使用するとカーボンの微粉末が発生します。このカーボンの粒子の大きさは、0.01~0.1ミクロンと言われています。
 この原因究明と製品の改良に2年間を費やしました。空気源にカーボンを混合する装置を開発するのが最大の難問で、約1年かかりました。この間、開発技術者は、カーボンの粉が飛ぶために室内では実験できず、冬から夏を越えて秋まで厳しい気候条件の屋外で実験をすすめました。毎晩「煙突掃除夫」のように真っ黒になりました。この苦労の結果、超小形でもカーボンの堆積しにくい電空変換器の構造を開発することができました。
この構造と「0.01ミクロン」のフィルタの使用により、トラブルの根本解決が実現しました。

 理想的な空気源装置は

 現時点で最善の空気源装置は、(I)ロータリ式スクリュー コンプレッサ、(II)冷凍式除湿装置、(III)「0.01ミクロン」フィルタの組合せです。スクリュー コンプレッサは、原理的に摺動部がないために、潤滑が不要で異物の発生がありません。

 「0.01ミクロン」フィルタの選択例

 電空変換器の使用台数に対応するSMC社製マイクロ ミスト セパレータの例を示します。
 ■1台用…形式:AMD150(4,550円)
 ■16台用…形式:AMD450(30,750円)

     
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