世界のフィールドバス事情 第28回
ISAでのフィールドバスの標準化
(その24)



(株)エム・システム技研 開発部 主管技師

 
 アラート機能

 プラントの操業時にはプロセスアラームの発生やポンプなど設備の起動のように操業上注意を喚起すべき事象の発生が予想されます。上位システム側では、そうした事象を監視したり自動的に記録する必要があります。SP 50のユーザー層委員会ではフィールドバス対応の機器が備えるアラームその他の事象の監視機能と監視結果を上位システムへ通知する機能をアラート(警戒)機能と呼んでいます。今回はフィールドバス システムでのアラート機能について考えてみましょう。

 アラート要因

 フィールドバス機器のアラート機能で検出すべき事象としては、次のような様々な内容を対象としています。
 (1)物理ノードの故障
 (2)フィールドバスの通信異常
 (3)正規の論理ノードの構成方法に従わない構成方法を実行しようとしたとき。
 (4)正規のファンクション ブロック間の接続方法に従わない接続方法を実行しようとしたとき。
 (5)ファンクション ブロック内での演算実行エラー
 (6)プロセス アラーム

 通知機能

 上位システムへは事象の発生を通知します。プロセス アラームについては、その性質上、正常な状態からアラーム状態に移り、ある期間アラーム状態に留まり、やがてその状態から抜けでる一連の動作があります。そこでアラーム状態への遷移時やアラーム状態から抜け出たときに通知する機能を持ちます。

 通知方法

 アラート情報の通知方法に関して、最初上位システムがすべてのフィールドバス機器(以下機器と略称)と順次通信して各機器のアラート要因の有無を調べる方式が提案されました。その後、逆にアラート要因を検知した機器側がバスの主導権を持って上位システムに対してアラート要因を送信する方式が提案されています。後者の方式は前者の方式に比べてアラート要因が発生していない機器はバス上にデータを送信する必要がないので、バス上の通信トラフィックは前者の方式より低くできる効率的な通信方式です。ただし、この方式を実現するためには、単純な機能の伝送器にもバスでマスターとなって自分からバスに話しかける高度な通信機能を備える必要が生じ、製品コストを上昇させる心配があります。
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 “世界のフィールドバス事情”は今回で終わります。長い間お読みいただきありがとうございました。
 ISA/IECで進められているフィールドバス規格全体の開発完了には、今までの進行状況からみるとさらに2年程度は必要と思われます。しかし、開発が完了した物理層とほぼ完了しているデータリンク層の規格については、今までフィールドバスの普及活動で対立していたISPとWorldFIP北米が統一されて新たに組織化されたフィールドバス協会での採用が決まっていますので、徐々に普及すると予想されます。

     







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