パネル設置面積

 既設プラントの制御システムを改造するとき、追加する計器盤の設置場所を見つけるのに苦労します。そこで、ワンループコントローラとスーパーDCSでは設置場所がどのくらい違うのかを比較してみます。
 (1)ワンループコントローラ
 ワンループコントローラの前面には、指示・操作部があり、背面には端子板があるため、計器盤の正面と背面にはワークエリアが必要です。そのため、計器盤の専有面積以外に余分なスペースが広く必要です。
 ワンループコントローラの奥行きは、350~500mm程度あり、計器盤の奥行きもこれに見合った寸法が必要になります(図3参照)。
 (2)スーパーDCSの場合
 スーパーDCSのネストは、ラックマウント形で、配線は前面から行います。ネストの奥行きは約150mmですから、図4に示すように片面アクセス方式の奥行きが300mm程度の壁取り付け形パネルに収納できます。

機器間伝送

 複数の制御ループ間の信号が相互に接続されている場合を考えます。その簡単な例として、図5に示す3ループの流量比率制御を仮定します。
 (1)ワンループコントローラ
 図5に示すループを構成するには3台のワンループコントローラが必要です。
 ほとんどのワンループコントローラは、上位通信機能を持っていますが、コントローラ同志で通信を行う機器間伝送機能を持っている機種はまれです。
 機器間通信ができないワンループコントローラの場合、ループ間の接続は、プロセスI/O経由で行うことが設計思想です。そのため、プロセスI/Oとしてアナログ入力7点、アナログ出力3点程度を用意しています。
 機器間の結合が複雑になると、このプロセスI/O点数では処理できなくなることがあります。当初の計画段階で、ループ間結合点数が正確に見積もれれば、問題は発生しませんが、複雑なループほど、実際にプログラムを作りはじめてから点数の不足が分かる場合が多く、ときには試運転途中に分かることもあります。計装設計者としては、このような目に遭いたくないものです。
 (2)スーパーDCS
 スーパーDCSの制御カードは、機器間伝送機能を標準で装備しています。したがって、制御カードにはアナログ入力2点、アナログ出力1点という必要最小限のプロセスI/O信号用フィールド端子を用意しています。
 これで不足するときは、機器間伝送機能を利用して、計装LAN(MsysNet2)やネストバスに接続したリモートI/Oユニット経由で必要点数を入出力できます。機器間伝送可能な入出力点数は、すべてをアナログ入出力に割り付けたときには32点、接点入出力に割り付けたときは256点です。
 スーパーDCSでは、ループ間結合のためにプロセスI/O端子を使う必要がありません。したがって、プロセスI/O用端子数は実際のフィールドI/Oの点数だけでよいことになります。

     



<前ページへ次ページへ>

*. 本ウェブサイト上に掲載されている情報は、掲載した時点での情報です。記載内容はお断りなしに変更することがありますのでご了承ください。

*. 本ウェブサイト上の表示価格には消費税は含まれておりません。ご注文の際には消費税を別途頂戴いたします。

MG 株式会社エムジー

Copyright © 1992 MG Co., Ltd. All rights reserved.