計装豆知識

SCADA(スキャダ)

   国内ではSCADAという概念が確立していないため、日本語にはSCADAに相当する用語はありません。当社では、MsysNet(エムシスネット)シリーズのなかでSCADAを開発していますが、他に適当な用語が見つからないため、英語をそのまま使うことにしました。そこで、今回は、SCADAの解説を行います。

SCADAの語源

Supervisory Control And Data Acquisition Systemの頭文字を集めたものです。英語で書かれた計装関係の雑誌や書籍には頻繁に出てきます。文字どおりの意味は、「設定値制御およびデータ収集システム」です。

 他の用語との関連
 マイクロプロセッサを使用した監視・制御システムのうち、下記の3種類が同レベルに分類されます。
  ●DCS
  ●PLC
  ●SCADA
DCSは、素材産業のプロセス制御の分野で使用される分散形制御システム(Distributed Control System)です。はじめはアナログ信号のPID制御(ループ制御)用として使用されましたが、今では強力なシーケンス制御機能も組み込まれています。0.5~1秒周期で入力信号を読み込み、演算して出力する動作を繰り返します。DCSのシーケンス制御機能は、制御周期が遅いので弁やポンプなどを対象にしています。
 PLCは、Programmable Logic Controllerの略で、日本では、シーケンサと呼ばれています。主として組立加工産業のFA用に使われています。PLCのことを、PCと呼んでいるメーカーがありますが、これは日本語です。アメリカ人にPCと言うと、必ずPersonal Computer(パソコン)と理解されます。エム・システム技研のある技術者が、不得意な英会話の中で「PC」を使ったため、話がかみ合わずに苦労した例があります。
 PLCは、有接点のリレー回路を近似したものから始まりましたが、今では、たくさんの応用命令が用意され、機械の高速制御に使われています。PLCの制御周期は、1ミリ秒程度と極めて高速です。DCSが1回演算する間に、PLCは1,000回も演算することになり、この点が大きな違いです。

 SCADAとは

 普通は、「パソコンとリモートI/Oユニットを組み合わせてデータ収集を行うシステム」をSCADAと言います。スキャナやデータ ロガーもSCADAに含まれます。
 SCADAを構成するリモートI/Oユニットには、DDC(Direct Digital Control=PID制御をコンピュータで処理する方法)の機能がありません。そこで、SCADAでPID制御を行うときは、別にPID調節計を用意して、その設定値をパソコンから遠隔操作します。これをSupervisory Controlと呼びます。別の呼び方では、これをSPC(Set Point Control=設定値制御)と言っています。
 しかし、SCADAであっても併用するパソコンでPID制御を実行し、DCSに近い機能を実現することもできます。またPLCをリモートI/Oとして使用すると、シーケンス制御機能をもつSCADAシステムになります。このように、DCS、PLC、SCADAそれぞれが機能の拡張を行っているために、最近はその境界がぼやけてきています。
 エム・システム技研のMsysNetシリーズは、この境界を取り払い、シームレス(継ぎ目なし)に、これらのアプリケーションを統合することをコンセプトにして開発されました。

     
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