世界のフィールドバス事情 第20回
ISAでのフィールドバスの標準化
(その17)



(株)エム・システム技研 開発部 主管技師


ファンクション ブロック

 ISA/SP 50委員会の中には、ユーザー層委員会が設置されています。そこではプロセス制御分野でのユーザー層の規格化が検討されています。この階層では、フィールドバスを使用した計装で必要となる機能の標準化を進めています。今回は、ユーザー層の標準化を検討した技術レポートのドラフト(ISA/SP 50-1990-389)に沿ってファンクション ブロックについて考えてみましょう。
レポートを読むと、ユーザー層の規格は分散型制御システム(DCS)の制御方式を手本として、DCSで実現している制御機能をDCSだけでなくフィールド機器にも埋め込めるように設計されているのがわかります。
 DCSにはプロセス制御で必要になる種々の制御機能がソフトウェアのモジュールとして標準的に用意されています。たとえば、PID制御機能やアナログ入力機能などがあります。種々の制御ループは必要なモジュールをソフト的に結線することにより簡単に実現できます。DCSが備えているPID制御機能のようなモジュールは、フィールドバス システムではファンクション ブロックと名付けています。ファンクション ブロックはデータベースと演算規則からなり、以下の4つのタイプを定めています。これらの訳語は筆者の訳であり、計装業界の公式な用語ではない点に注意してください。
 (1)標準ファンクション ブロック(Standard Function Block)
 データベースも演算規則もSP 50ユーザー層の規格に従う。ただし両方とも規格を満足している限り拡張を認める。
 (2)代替ファンクション ブロック(Alternate Function Block)
 データベースは規格に従う。ただし、規格を満足する限り拡張を認める。演算規則は規格に従わない。
 (3)一般ファンクション ブロック(Generic Function Block)
 データベースには最小限の相互運用性がある。演算規則は規格に従わない。相互運用性(インターオペラビリティ)とは多少は機器のパラメータの再設定を伴うが、機能を損なわずに機器の交換が可能な機能。
(4)オープンファンクション ブロック(Open Function Block)
 データベースも演算規則も規格に従わない。
 フィールドバス機器は多数のデータを双方向に通信できるため、異なるメーカーの機器間で互換性を保つのは簡単ではありません。しかし、標準部分の機能のみを使用した標準ファンクション ブロックだけの機器を使用すれば、異なるメーカーの機器間で互換性を保つことができます。標準タイプとしては30種以上のファンクション ブロックが提案されています。
 異なるメーカーの機器間で、完全な互換性はないが相互運用性をもたせるためには上記の(2)、(3)のファンクション ブロックを使用する必要があります。また、メーカー独自の機能はすべてのタイプで織り込めます。

     



















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