熱電対)、加熱のための蒸気流量を加減する空気圧式自動調節弁、そして測定温度とその設定値(目標温度)を比較し、調節弁に対して適当な開度を指示する温度調節計がこの負帰還制御系の基本的構成要素としてあげられます。
 しかし、これらの機器相互間では直接信号をやり取りすることはできません。つまり、図1に示すようにカップル変換器と電空変換器という2つの信号変換器を加えることによって、初めてこのシステムは所期の目的のとおり水温の自動制御を行う有効なシステムになります。
 温度調節計の入力信号(プロセス変量:PV)と出力信号(操作変量:MV)としては、現在一般に、それぞれの信号レンジに対応して直流4~20mAという標準化信号が用いられています。カップル変換器は、検出端(熱電対:サーモカップル)から水温に相当する低ミリボルトの直流電圧を受け、これを調節計が受け取れる標準化信号(DC4~20mA)に変換して出力する信号変換器です。また、電空変換器は温度調節計から標準化信号(DC4~20mA)を受け、これを空気圧式自動調節弁が受け取り、弁開度を自動調節するために必要な空気圧標準化信号(0.2~1.0kgf/cm2)に変換して出力する信号変換器です。
 この2つの信号変換器を使うことによって、検出端、調節計、自動調節弁という3つの機器が相互に結び付けられ、水温の自動制御を行う意味のあるシステムが構成されるわけです。

2.信号変換器の機能と構成要素

 信号変換器は、1つのあるいは複数の入力信号を受け、それらに対応し、またそれらを条件として種々の信号変換・信号処理を施したうえで、1つのあるいは複数の信号を生成し、出力する装置です(図3参照)。
 出力は多くの場合、標準化信号(DC4~20mA、DC1~5V、0.2~1.0kgf/cm2など)であり、その他に条件・警報信号(ON/OFF接点信号)、デジタル信号(パルス数、バイナリ、BCD信号など)があります。
 一方、入力信号としては、各種検出端の出力を考えればわかるとおり、多種多様な信号が考えられます。これを大分類すれば、電気信号(直流信号、交流信号、パルス信号、ON/OFF接点信号)、空気圧信号(圧力、差圧信号)、光信号などになります。また、ここで必要になる具体的な信号処理の内容は、それぞれの信号変換器が期待されている機能ごとに異なります。
 次に、一例としてカップル変換器をとり、信号変換器が持つ信号処理機能とそのため用いられる構成要素(回路)について説明します(図4参照)。
 (1)電圧増幅
熱電対からの入力信号は数mV程度の直流電圧であり、まずこれを後段の諸信号処理に適した大きさまで増幅する必要があります。回路素子としては、トランジスタ

     
























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