世界のフィールドバス事情 第22回 ISAでのフィールドバスの標準化 (その19) 鳥取 輝美 とっとり てるよし (株)エム・システム技研 開発部 主管技師 ファンクション ブロックの実行方式 フィールドバス機器の入力、出力、制御演算処理などの機能はファンクション ブロックにより実現されます。今回は ファンクション ブロックの実行方式について考えてみましょう。フィールドバス機器のモデルを図1に示します。ISA/SP 50ユーザー層委員会では複数の ファンクション ブロックの実行方式をまとめて規定するためのアイデアとして論理ノードを提案しています。複数の ファンクション ブロックの集合を論理ノードとして定義し、論理ノード単位に ファンクション ブロックの実行方式を規定できます。その実行方式として次の4種類の標準が提案されており、各種のフィールドバス機器に対応できます。 (1)未定義(Undefined) メーカーが独自の実行方式を採用した場合を未定義と呼びます。 (2)非スケジュール管理標準(Unscheduled Standard) スケジュール管理を行わない方式です。この標準は、たとえば分析計をフィールドバスに接続する場合を想定しています。ただし、分析計内には分析結果のデータを保有する ファンクション ブロックがあるものとします。なお、このデータは分析動作が完了した時点で更新され、必ずしも一定時間ごとに更新される必要はありません。 (3)周期/位相標準(Cycle/Phase Standard) 比較的長い周期の中での位相を指定することにより実行タイミングを規定します。この標準は、多数の信号をスキャンニングして入力する機器で各信号の入力タイミングを周期の中の位相として設定するのに使用できます。 (4)タイミング規定標準(Timed Standard) この標準ではファンクション ブロックの実行タイミングを厳密に規定します。この標準により、異なるメーカーの機器の間で動特性をほぼ等しくすることができ、機器の互換性を実現できます。この標準では、ユーザーが制御周期とその制御周期内で実行できる ファンクション ブロックの数を指定します。このためには、機器の制御周期の最小値や制御周期の中で実行できる ファンクション ブロック数の最大値、またユーザーが設定する制御周期に対応して実行できる ファンクション ブロック数の最大値が明らかになっている必要があります。これらの値はメーカーが機器ごとに規定します。ちなみにメーカーが設定する最小の制御周期は2のべき乗で定義します。その指数をMXとすると、メーカーはMXを7以下の値として設定します。MXと制御周期(2MX秒)の関係をMX=-10から7の間で表1に示します。 次回も引き続きユーザー層の説明を続けます。 |
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