故障してもラインを止めずに修理できる製品の開発、(III)新しいマーケットを拓く製品の開発にあると言えましょう。
 まず、(I)ですが、配管の振動に強くすることが一番大きいテーマと言えましょう。この対策の内容は製品によって大幅に違いますが、現在各社製品ともかなりのレベルにきていると考えます。本稿では、(I)は省略し、上記(II)と (III)について説明します。
 流量計はプロセス配管に直接設置するので、万一故障するとその交換が大変です。重要なラインでは、流量計の前後にストップ弁を設け、かつバイパス管路を設置して、流量計が万一故障してもプロセス流体を止めずに修理できるようにします。しかし、これにはかなり費用がかかるので、ユーザーにとって好ましくないことは当然です。そのため、とくに化学系のユーザーは、流量計が故障してもラインを止めないで修理ができる製品を強く希望しています。
 これに対する対策には2つあります。1つは、外部からリプレースできるセンサの採用であり、もう1つはセンサ部分の二重化による信頼性の向上です。これらについて代表的な例を説明します。
 (1)外部からリプレースできるセンサの採用
 (a)圧電素子型
 渦発生体の内部に渦によって振動する振動管があります。この部分でプロセス流体はシールされていますが、渦の振動は振動管に固定した伝達軸によって外部へ伝達されます。これを外部にある圧電素子型センサでピックアップします。このような構造をとることにより、ラインを止めずにセンサを交換できます。この構造は、オーバルが最近の製品に採用しています。また、構造は異なりますが、同じコンセプトの製品がRosemount(アメリカ)などにあります。
 (b)超音波検出型
 渦を超音波で検出するタイプの渦流量計はアメリカには以前からありましたが、最近日本でも製品が数社から出ています。この場合、超音波送受信器を検出器の外部に設置すれば、センサ部が接液しないので、やはり外部からリプレース可能となります。この考え方は横河電機が採用しています。
 (2)二重化方式
 Endress+Hauser(ドイツ)は、渦の検出に静電容量式センサを使用しています。この原理図を図2に示します。これは、渦により外部の円筒が左右にわずかにたわむとき、内部の電極との間隔が差動的に変化することを利用しています。通常はこのセンサを渦発生体に1個入れるのですが、両側から1個ずつ入れ、二重化することもできます。
 新しいマーケットを拓く製品の例としては、質量渦流量計と接液部オール樹脂の渦流量計をあげておきます。前者は、渦の剥離に伴い渦発生体に加えられる力を流速で割れば、質量流量が得られると言う原理に基づいています。温度センサ、圧力センサが不要ですから、蒸気や気体の流量測定に便利です。この製品は横河電機が最近開発しました。後者は、トキコが開発した製品で、接液部をふっ素樹脂でライニングしています。これは超純水や腐食性液体に使用できます。また、アメリカのUniversal Flow Monitorsにも同じ構造の製品があります。ただし、トキコは超音波式、Universal Flow Monitorsは渦発生体の後の渦を力センサで検出する方式です。

◆引用文献◆

1)松山 裕:実用流量測定、省エネルギーセンター(1995)


     

松山 裕
松山技術コンサルタント事務所
所長




<前ページへ次ページへ>

*. 本ウェブサイト上に掲載されている情報は、掲載した時点での情報です。記載内容はお断りなしに変更することがありますのでご了承ください。

*. 本ウェブサイト上の表示価格には消費税は含まれておりません。ご注文の際には消費税を別途頂戴いたします。

MG 株式会社エムジー

Copyright © 1992 MG Co., Ltd. All rights reserved.