計装豆知識

濃度の計量単位

 本年3月から5月にかけて、本欄にSI単位の話を連載しました。今回は、濃度の単位について説明します。
 まず、新計量法における濃度の単位を表に示します。以下この順で説明します。

1)モル濃度(mol/m3など)

 モル毎立方メートルの新計量法における定義は、“物質1立方メートル中に、ある成分1モルを有する濃度”です。ここでいう“物質”とは、液体、気体、固体、いずれでもよいわけですが、液体の場合は“物質”を溶液、“成分”を溶質(溶液中に溶かされている物質)と読みかえるとわかりやすいでしょう。
 ところで、モルはSI単位の基本単位の1つであり、計量法における定義は、“0.012キログラムの炭素12の中に存在する原子の数と等しい数の要素粒子または要素粒子の集合体で構成された系の物質量”となっています。一読しただけでは意味がわかりにくいでしょうが、一般には原子量または分子量の数値にグラムをつけて表した量と考えれば結構です。なお、上記の原子の数は、およそ6.022×1023です。これをアボガドロ定数といい、物理化学における基礎定数の1つです。

2)質量濃度(kg/m3など)

 キログラム毎立方メートルの定義は、“物質1立方メートル中に、ある成分1キログラムを有する濃度”です。“成分”の単位がモルからキログラムに変わった以外は、モル濃度と同じです。

3)質量分率(%など)、体積分率(vol%または%など)

 これはとくに説明の必要はないでしょう。

4)ピーエッチ(pH)

 ピーエッチの定義は、“モル毎リットルで表した水素イオン濃度の値に、活動度係数を乗じた値の逆数の常用対数”です。
 この定義を式で表すと下記のようになります。

 ただし、αは活動度係数、[H]はモル/lで表した水素イオン濃度です。しかし、このαを測定することは容易ではありません。そのため、特定の溶液のpHをこの定義に基づいて設定し、これを基準としてpH計の目盛を校正しています。この特定の溶液をpH標準液といい、JISでは6種類が規定されています。

5)規定(N)

 規定の定義は、“1立方メートル中に、1000モルをその価数で除した物質量の溶質を含有する溶液の濃度”となっています。
 この定義を式で表すと下記のようになります。
 N=103・C/Z
 ここでNは規定、Cはmol/m3で表した酸またはアルカリ液の濃度、Zはその価数です。価数というのは、酸またはアルカリが、1分子の中にもつ水素イオンまたは水酸基イオンの数のことです(例:HCl、NaOHは1価、H2SO4は2価)。

     



















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