義定点に数多く採用されています。
 一方、国際温度目盛は1927年以降、何回も改訂されました。これは、熱力学温度に極力近づけるためです。現在の国際温度目盛は、1990年に改訂されたもので、略称ITS-90といいます。ITS-90のこれまでの目盛からの主な変更点は、(イ)低温側は0.65K(-272.5℃)まで規定したこと(ロ)定義定点はいくつか入れ替えたうえ、定義定点全体の温度値を変更したこと(ハ)補間計器として熱電対をやめ、大部分の領域で白金抵抗温度計を使用したことです。この結果、水の沸点は1気圧下では99.974℃となりました。また、2,400℃以上では、従来の温度目盛より1℃以上の変更となりました。これが、今年7月の熱電対関係JIS改訂の大きな要因となっています。

3.JIS規格の変更経過

 熱電対、測温抵抗体の1974年以降の変更内容を表1、表2に示します。これらを見ると、JISは一貫してIEC規格に整合させていることがわかります。IECとは、International Electrotechnical Commissionの略号で、国際電気標準会議といい、電気関係の国際標準を定めている団体です。
 以下ざっと表の内容を説明します。
 まず表1ですが、この表の1995年の所に、熱起電力をITS-90に整合(IEC改正原案に合わせた)とあるのは、まだIEC規格が正式発行されていないので、改正原案をJISが先取りしたものです。その結果、各熱電対の熱起電力表はすべて変更されました。しかし、従来規格との差は、0~500℃の範囲では±0.1℃以内、500~1,000℃の範囲では±0.25℃以内であり、工業計測用としては大きな影響はありません。
 また、ここに書かれているN熱電対というのは、約20年前にオーストラリアで開発された熱電対です。K熱電対とかなり似ていますが、熱電対の+脚、-脚の両方にシリコンが添加されており、耐熱性その他の特性が改善されています。常用使用限度はK熱電対より200℃高く、かつ価格はあまり変りません。IEC規格には、1989年に採用されています。日本ではあまり普及していませんが、JISに採用されたのを機に普及することが期待されます。
 次に表2ですが、この表にあるR100/R0は、抵抗体の特性を決める大事な値です。1989年以前は、日本では1.3916を採用していました。しかしIECではドイツ規格の1.3850が採用されたため、日本も合わせざるを得なくなったものです。しかし、今までの規格をすぐ廃止はできないので、現在は2本立てになっています。将来廃止することになっていますが、時期は未定です。

◆引用文献◆

1)松山 裕:やさしい計量単位の話 第5回、省エネルギー、Vol.47、No.9、p.78(1995)

     

松山 裕
松山技術コンサルタント事務所
所長







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