コモンセンス

サーモカップルの名参謀
ディストリビュータ(形式:JDL)


 カリッと揚げられたてんぷらは本当においしくってついつい手を出してしまいますが、これには料理人の技術、素材や油の質などのほかに、油の温度に左右されるところも大きいそうです。あまり慣れていない人は、温度計を使って手引き書の温度になるまでガスコックとの格闘が必要ですが、熟練した人は1滴のころもを落としただけで温度を知り、ガスコックのチョイひねりで最適制御をしてしまう離れ技を持っています。
 自動制御の世界では、温度の情報を電気信号の形で温度制御装置に入力すると、熟練した人に代わってコンピュータがガスコックに司令を出して最適温度になるよう制御します。ここでは、温度の情報を電気信号として取り出せるセンサが重要な役割を果たすことになります。
 ここで、最も一般的に使用されている温度センサの1つ、熱電対(サーモカップル)について考えてみましょう。
 今ここに、互いに均質で、しかも性質の異なる2種類の金属素線があって、これらを接合しその両接合点間に温度差を与えると、この回路には一定の熱起電力が発生します(ゼーベック効果)。そして、この熱起電力の大きさは金属素線の種類と両接合点の温度のみによって決まるのです。そこで、回路内に電圧計を挿入し、いずれか一方の接合点の温度を一定に保っておくと、この電圧計は他方の接合点の温度と対応した値を示すことになります。熱電対はこうした原理を応用した温度センサなのです。
 熱電対はJISで規格化されていて、測定の信頼度が高く、素線材質を適切に選べば機械式温度計や測温抵抗体温度計に比べ温度測定範囲が広くより高い温度まで測定可能であるうえ、センサ自身に電源がいらないため取扱いも容易であり、構造も簡単で素線の径も測温抵抗体温度センサに比べて太いので振動に強いなど、優れた特長をもっています。反面、起電力特性が非直線で(リニアライズが必要)、裸線で使用すると寿命が短くなる(多くは保護管付きで使用)などの短所もあります。
 熱電対の起電力は1,000℃でK熱電対は41.269mV、R熱電対は10.503mVと微弱なため、そのままでは計器やコンピュータに入力するわけにはいきません。普通にとられている方法は、熱電対の起電力を補償導線を介して計器室のカップル変換器に入力し、リニアライズされた計装用統一信号に変換しています。エム・システム技研ではカップル変換器として、プラグイン形のJT、TCSをはじめ、豊富な機種を取り揃えています。
 とくにJTはマイコンを内蔵していて、冷接点の温度を正確に測定し、使用する熱電対に合うように補正をしていますので、精度が良いだけでなく、外部温度変化の激しいところで使用しても、安定した良好な結果が得られます。
 また、温度測定の現場から計器室が遠く離れているなどで、補償導線を長く引き回したくないという場合には、現場の近くで電源不要の2線式カップル変換器(形式:BT、BTS、6TSなど)に入力しておくと、そこから計器室までは通常の2本の信号線だけですみます。そして計器室でディストリビュータに入力し、リニアライズされた統一信号として取り出すようにすればよいのです。
 2線式変換器用ディストリビュータについては、JDL、DSをはじめいろいろ取り揃えております。なかでもJDLはマイコン内蔵のスペックソフト形で、リニアライズ機能があります。プログラミングユニット(形式:PU-2A)を使って補正特性を設定するだけで折れ線リニアライズができるため、測温抵抗体にも対応することが可能であり、システムの構成が単純容易です。
 詳細な仕様につきましては、エム・システム技研製品仕様書集MSSの該当ページをご参照ください。

     







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