計装豆知識

接点保護の常識と落とし穴

 コイルやモータなどの誘導性負荷回路を開閉する場合、接点をOFFした瞬間に、定格電圧の何倍もの逆起電力(サージ)が発生します。一方、コンデンサやランプなどの負荷の場合には、接点をONしたとき大きな突入電流(インラッシュ)が流れます。その結果、接点にアークが発生したり、大電流が流れて接点を傷めます。また、同時にノイズが発生し、周りに悪影響を与えます。このような障害を避けるため、一般に、保護回路が使われます。

接点保護回路

 以下、一般によく用いられる保護回路を紹介しながら、その注意点も説明します。
 (1)C-R方式:接点OFF時のサージを、コンデンサによって抑制します。一方、接点ON時の突入電流を抵抗によって制限します。
 ●交流、直流両方の負荷に使用可能
 ●誘導負荷の場合、復帰時間が遅れる
 電源電圧が大きい場合の回路



 ●交流負荷の場合、負荷のインピーダンスがC-Rのインピーダンスに比べて十分小さいこと
 ●C-Rを通じて微小電流が流れ、誤動作する恐れがある
 電源電圧が小さい場合の回路



 (2)ダイオード方式:発生したサージをダイオードによりコイルに流しコイルで消費します。



 ●直流負荷にのみ使用可能
 ●C-Rよりも復帰時間が遅れる
 (3)ダイオードとツェナーダイオード方式:復帰時間が遅れ過ぎるときに効果的です。



 ●直流負荷にのみ使用可能
 (4)バリスタ方式:接点OFF時に発生する高電圧をバリスタが吸収します。



 ●交流、直流両方の負荷に使用可能
 ●C-Rと同様、電源電圧が大きい場合は接点間に、小さい場合は負荷間に取り付ける
 ●復帰時間が多少遅れる

不適当な保護回路

 一見すると、接点の保護回路に見える回路であっても、接点を傷めることがあります。このような回路を用いないよう注意が必要です。
 (1)接点間にコンデンサを入れた回路:接点OFF時、コンデンサ(C)に蓄えられていた電荷が、ON時に短絡電流として流れるので、接点が溶着しやすくなります。



 (2)負荷の両端にコンデンサを入れた回路:接点ON時にコンデンサ(C)への充電電流が突入電流として流れるので、接点が溶着しやすくなります。



 接点保護回路は、その特長をよく理解したうえで、正しく使用してください。

     


























































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