次に4線式では、測温抵抗体に検出電流を流すための1対の配線と測温抵抗体の両端の電圧を取り出すための1対の配線を独立に置きます。つまり4本の導線を用いて測定する方式であり、高精度測定が可能です。そして、主として標準器を含む精密温度測定の目的で使われています(図1・3参照)。
 極低温の話に戻って、白金コバルト温度計では4線式測定方式が使われます。極低温における白金コバルト素子の温度感度が純白金に比べて大きいことは前に述べました。しかし見方を変えて、10K(=-263.15℃)付近での白金コバルト素子の温度感度を常温付近でのPt100の温度感度と比較すれば、なお約1/4と小さいのです。このため、測定はできるだけ高精度で行う必要があります。これが4線式測定方式が用いられる理由です。
 エム・システム技研には、4線式測定方式の測温抵抗体と組み合わせて正確な温度測定を実現する信号変換器として、スペックソフト形4線式測温抵抗体変換器(形式:10JRE)が用意されています。なお、この変換器と組み合わせるセンサはPt1000Ωが標準になっています。Pt1000Ωは、当初H2型ロケットに関係して開発された極低温測定用センサであり、後に民生用としても市販されています。Pt1000ΩはPt100の素子抵抗値を10倍の1000Ωにすることによって温度に対する抵抗値変化も10倍にするという単純な発想から開発された極低温用測温抵抗体です。その測定対象温度範囲は20~350Kであり、白金コバルトに比べて少し高温側にずれています。なお、10JREと組み合わせて使用できるセンサはPt1000Ωに限りません。白金コバルトはもちろんPt2000Ωとの組合せも可能ですし、極低温測定からは離れますがPt100をセンサとする高精度温度測定用変換器としても使えます。10JREの大きな特長は温度-抵抗特性のリニアライズをソフトウエアで行う点にあります。これは、センサの温度特性に関する器差補正を容易にし、高精度測定を可能にします。4線式測定方式に対応していることとあいまって高精度の温度測定をお考えのとき、ぜひ思い出し、ご検討いただきたい信号変換器です。


     
<前ページへ次ページへ>

*. 本ウェブサイト上に掲載されている情報は、掲載した時点での情報です。記載内容はお断りなしに変更することがありますのでご了承ください。

*. 本ウェブサイト上の表示価格には消費税は含まれておりません。ご注文の際には消費税を別途頂戴いたします。

MG 株式会社エムジー

Copyright © 1992 MG Co., Ltd. All rights reserved.