方式で必要であった光学調整が不要であることをあげています。

 4.ガスクロマトグラフ

 前項で、COを測定しているとき試料ガスにCO2が含まれていると誤差になると説明しました。このように、共存ガスの影響を完全になくすことはなかなか難しいのです。したがって試料ガス中の各成分を完全に分離することが可能なら、この問題は解決します。こうした考え方より、多くの成分から成る試料を各成分に分離してから測定する方法をクロマトグラフ法といい、これを気体および揮発性液体の測定に利用するものがガスクロマトグラフです。
 ガスクロマトグラフによる記録例を図3に示します。ここに見るように、多数の出力が時分割的かつ非連続的に得られることは、この分析計の長所でもあり短所でもあります。この出力は連続ではなく、かつ時間遅れがあるので、自動制御には使いにくいからです。しかし最近は、マイクロプロセッサの使用が進み、この問題は克服されています。そのため、石油化学プロセスでは多数のガスクロマトグラフが、自動制御や品質管理に使用されています。
 ガスクロマトグラフの基本構成を図4に示します。試料ガスはサンプリング装置によって水分およびダストが除去され、圧力・温度が調整されます。ついで試料採取弁によって、ごく微量の一定量が採取され、キャリアガス(窒素・水素・ヘリウムなど)によって押し流されてカラムと呼ぶ分離管に入ります。カラムには、細い管に充てん剤を詰め込んだ充てんカラムと、非常に細い管の内面に液体を塗布したキャピラリーカラムの2種類があります。いずれにせよ、試料ガスはカラムの内部で充てん剤もしくは液体との間で吸着と脱着を繰り返しながらキャリアガスに押されて検出器に入りますが、この過程で各成分に分離されます。キャピラリーカラムの方が、各成分を分離する性能はすぐれていますが、充てんカラムは過去の使用データが豊富であり、かつ使いやすいため、用途に応じて両者が使い分けられています。
 検出器には熱伝導率形(TCD)、水素炎イオン化形(FID)が一般的で、ほかにもいろいろあります。TCDは、気体の熱伝導率の差を利用して濃度を測定するもので、広い範囲の気体に適用できますが、感度はあまり高くありません。FIDは、水素炎の中に入れた有機物はイオン化するので、炎に直流電圧をかけてイオン電流の形で検出する方式です。一般に炭化水素系のガスの微量分析に使用します。
 工業用に使用するガスクロマトグラフは、プロセスガスクロマトグラフ(略称PGC)と呼ばれ、ラボ用ガスクロマトグラフとは区別されています。しかし、最近は性能的にはラボ用との差が詰まっています。ガスクロマトグラフの内部の温度は、300℃以上に上昇させることができ、ガソリン・ナフサ・灯油・軽油などの分析も可能となっています。

著者紹介
松山 裕
松山技術コンサルタント事務所
所長

◆ 引用文献 ◆
1)横河電機:赤外線ガス分析計技術資料
2)富士電機:赤外線ガス分析計カタログ

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松山 裕
松山技術コンサルタント事務所
所長








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