エム・システム専用工業モデム (株)エム・システム技研 開発部 主管技師 はじめに インターネットやニフティサーブなどに代表される、パソコン通信を支えるパソコンの進歩には目を見張るものがあります。パソコンの心臓部であるCPUの高速化、メモリーの大容量化、ハードディスクの大容量化には驚かされます。また、これらのハードの急速な拡充を必要とするソフトの肥大化も留まることがありません。 パソコン通信を経験したことのある方は、同じ驚きを“モデム”についても持たれていることと思います。ここ数年来の通信速度の高速化、通信費の低廉化は他に類を見ないものです。ところで、モデムの製品寿命は非常に短く、長いものでも1年、短いものでは2ヶ月で新しい製品にモデルチェンジされています。このため、テレメータなどに代表される電話回線や専用回線を用いる装置に一般の市販モデムを利用する場合、いろいろな問題が発生します。 1. 必要とするモデム (1) 互換性 モデムを利用するエム・システム技研の製品には、テレカプラ(形式:DKT)、テレカプラ ミニ(形式:22T、22R)、DASTシリーズ、テレメータユニット(形式:DLS)、DHシリーズ、モデムインタフェース(形式:SMDM)、モデムユニット(形式:SMM)などがあります。市販モデムを購入して動作テストを行うと、同じメーカーのモデムでも旧機種では動作したものが新機種では動作しないことが度々起こります。当然メーカーが異なればより悲惨な状況になります(ATコマンド準拠であっても、わずかに仕様が異なるためです)。 パソコンでは、これらの問題を解決するためにモデム個別のドライバーソフトを準備しています。このソフトを組み込むことによりモデム単体の個別差を解消するわけです。しかし、エム・システム技研のモデム利用製品ではソフトをROM化しているため、容易にソフトを追加することができません。ユーザーでのソフト追加は不可能です。このため、どうしても互換性のあるモデムが必要になります。 (2) 使用条件 市販モデムは、机の上でパソコンの横に置いて使用するように考えられています。そして、より高速で、より低価格で格好が良く操作性に優れた製品が要求されます。 多くのユーザーに使用してもらうため、テレビなど一般家庭電化製品に対してと同じような開発努力が払われています。しかし、便利であれば外形や操作法が同じである必要はまったくありません。 一方、エム・システム技研の製品の多くは制御盤などに取り付けられます。したがって、モデムも制御盤の中に取り付けなければなりませんが、市販モデムは机などの上に置くことを前提にしているため、対策としてブラケットを準備することになります。しかし、ブラケットの上に置くと安定が悪く、結束バンドなどで固定する必要が生じます。 また、制御盤の中の環境条件は非常に悪く、高温であり、また多少の振動が常にあります。市販モデムを制御盤に取り付けることはほとんどの場合推奨できません。 |
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