用されています。これは、間欠的に汚泥に圧力をかけて気泡を消失させてから、超音波で測定する方法です。これは良い方法ではありますが、間欠的にしか測定結果が得られません。また測定装置も大きくなります。
 この欠点を除いた新しい原理の汚泥濃度計が、最近開発され、かなり使用されています(メーカーは東芝)。これは、マイクロ波<注1>が液体の中を通過するとき、液体の物性により伝播速度が変わることを利用しています。液体の濃度によって誘電率が変わるので、マイクロ波の伝播速度変化より液体の濃度が求められます。この製品では、伝播速度の変化を受信波の位相おくれとして検出します。原理図を図3に示します。なお、この計器の測定範囲は0~1%または0~10%です。
 この計器の応用は、原理的に汚泥に限るものではありません。引用文献2では、製紙工業におけるパルプ液の濃度の測定も可能と報告されています<注2>。

 5.石油硫黄計

 環境問題の対策の1つとして、軽油中の硫黄濃度の規制があります。以前は0.4wt%以下だったのが、1992年には0.2wt%以下となり、1997年10月よりは0.05wt%以下となります。これは、ディーゼル車の排ガス中に含まれる窒素酸化物(NOx)除去用触媒の寿命を長くするための処置です。
 従来よりプロセス用の石油硫黄計は市販されていますが、このような低濃度の硫黄濃度を検出することは困難です。この対策として、最近新しい原理に基づく石油硫黄計が開発され発売されていますので、以下説明します。
 物質にX線を照射すると、物質に含まれる元素が励起され、その元素特有のX線を発生します。これを蛍光X線といいますが、この蛍光X線の強度は、元素の濃度に比例します。また蛍光X線のエネルギーは各元素により異なります。したがって、物質が発生した蛍光X線より硫黄から出た蛍光X線のみを選択し、この強度を測定すれば硫黄の濃度が測定できます。原理図を図4に示します。
 図に示された比例計数管は、サンプルから出た蛍光X線を受けて、X線のエネルギーに比例した高さのパルスを発生します。またこのパルスの時間当たりの数は、X線の強度に比例します。したがって、硫黄から発生したX線に対応したパルスのみを、波高弁別回路により選別すれば、そのカウント数から硫黄濃度を知ることができます。
 この製品は、横河電機、菱電商事、ニューリーが共同で開発した製品です。灯・軽油用の製品では、測定範囲は0~0.05wt%または0~0.1wt%となっています。なお、上記の製品以外に、電気化学計器が、検出器にシリコン半導体検出器を用いた製品を販売しています。

◆ 引用文献 ◆

1)北辰電機製作所:濁度計技術資料
2)鈴木 悦美ほか:マイクロ波を応用した濃度計、計装、Vol.38、No.3 p.41~45(1995)
3)横河電機:石油硫黄計カタログ

<注1>マイクロ波は電波の一種であり、超短波と遠赤外線の間に位置しています。
<注2>フィンランドのバルメット社は、マイクロ波式パルプ濃度計を販売しています。

      著者紹介



松山 裕
松山技術コンサルタント事務所
所長





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