本構成による制御システムの特長は、単にスミス調節計の機能を実現するだけでなく、むだ時間補償パラメータをパルプ液流量に対応して自動的に設定することによって、プロセス特性の変動に常に追従、適応した制御を可能にしている点です。
 以下に、主なソフトウェア機能の働きを示します。

 (1)拡張形PIDブロック

制御偏差に対する補償演算機能を持ち、入力補償端子に接続された信号の値を制御偏差値から減算します。

 (2)むだ時間補償ブロック

 スミス調節計におけるむだ時間補償器の動特性部分のアルゴリズムを標準装備します。むだ時間L、および時定数Tを可変パラメータとし、動作中にパラメータを変更しても、出力が初期化されることはありません。
 (3)パラメータ設定ブロック

 流量に対応したむだ時間補償のパラメータ L、T、Kの値をあらかじめ保持し、設定指令が与えられると、その値を各対象ブロックに書き込みます。

 (4)警報設定ブロック

パラメータの設定変更を判定するための流量のしきい値を何段階かで検出します。
 (5)シーケンサブロック

 警報設定ブロックからのステータス信号を受け、パラメータ設定ブロックへ設定指令を与えます。

 おわりに

 むだ時間はプロセス制御を困難にする最大の要素ともいえます。
 しかし、本例で紹介したスミス調節計によるむだ時間補償制御のほか、サンプル値制御や予測制御など、高級制御の手法を導入することによって、むだ時間の長いプロセスにおける制御性を著しく改善することができる場合が少なくありません。
 スーパーDCSは、本例のような応用分野をもっとも得意とし、高級制御を容易に実現する手段を、合理的な価格でご提供することができます。

◆ 参考文献 ◆

オーム社「計装システムの基礎と応用」
千本 資、花淵 太 共編
(著者は執筆者の一員)

(注)スーパーDCS:ワンループ単位まで極限分散したDCS

     




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