体であるFieldbus Foundationが下水処理プラントの試験計装の報告をしました。全計装に必要な計器室から現場への配線がわずか2本になっている写真や、計装立ち上げ中にプログラム変更を現場計器にダウンロードするだけで計装の変更ができる強みなどを示していて、印象的でした。この計装では、PID動作は計器ブロックソフトウェアとして調節弁のポジッショナーの中に入ってしまいました。そのため、調節計もDCSもなくなっています。試験計装には、ブラジル系のSmar社製品を使っていました。
 Smarはフィールドバス製品をブースにも展示していました。学会での説明では、来年のISA/96にはFoxboro、Rosemountなど、外の会社も同様の製品を出展するそうです。
 フィールドバス信号の前身であるスマート信号には国際規格はありませんが、ハートプロトコルが事実上の統一規格になってきました。昨春まで一番強く対抗していたHoneywellが自社製のものと併用を決めたので、ヨーロッパも含めて大部分のメーカーがハートプロトコルを使うようになりました。

 ショーの横にらみ

 後半では、ISAショーの裏話を少し紹介します。

 1)同窓会

 ISAショーは「アメリカ計測業界の同窓会」の異名があります。計測制御業界は外の業界との人事交流が少なく、人々は主に業界内で転職しています。会場では昔の同僚や上司のいる会社のブースを訪問しあって、旧交を温めています。このため、ブースの訪問者の過半数はユーザーではなく、同業者だと言われるほどです。
 何も国内同業者に見せるために、大枚を投じてブースを構えることもあるまいと言う考えもできます。私が勤めていたFischer & Porter社は、約15年前、ISAショーが会社に近いフィラデルフィア市で開催されるとき以外は、参加しないことに決めました。その代わりに、ユーザーに見てもらうように化学工業界、紙パルプ工業会、水処理工業会など、ユーザー業界の展示会に力を入れていました。同様に考える会社が増えているようで、ISAも対策を考慮しています。
 しかし、日本、ヨーロッパの会社は、国際的な会社であることを誇示するために、ISAショーへの出展を効果的に使っています。

 2)効果

 Fischer & Porter社が出展を取り止めた年に、どの会社のブースが印象的だったかアンケートがとられました。その結果、出展していなかったFischer & Porter社が4位に入っていました。前年まで続けて出展していたので、その年もブースがあったと思われたのでしょうが、多くの参観者の真剣度はこの程度に散漫ではないのでしょうか。しかし、まじめに参観してくださるユーザーもあることを忘れてはなりません。

 3)張り子

 各社、動作する製品だけでなく、外函だけをブースに展示することがしばしばあります。長年作っていて、ユーザーに知れわたっている製品を、引き続いて製造していることを示すだけなら外函の展示

     




















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