計装豆知識

流速計による流量測定方法

 流量計は、一般に口径が大きくなると、急激に価格が上がります。したがって、大口径管路の流量を測定するとき、流量測定に要する費用は相当多額になります。高精度の測定を行う必要があるときは、これはやむを得ないことですが、さほど測定精度を必要としない場合には、流速計を使用する方法が現実的な選択の1つとなります。また、流速計を使用する方法は、流量測定に伴う圧力損失が少ないので、省エネルギーにもなります。
 管路内の1点の流速を測定して、全体の流量を求める場合には、まず管内の流速分布について知らなければなりません。

 管路内の流速分布

 管路内の流速分布は、流れが十分な直管部分を通ったあとでは、中心対称の流れとなります。また、流速が遅いときは流体の分子が層状となって整然と流れますが、流速が速くなると流体の分子が入り乱れた状態となります。前者を層流、後者を乱流と言い、この分かれ目は式(1)で定義されるレイノルズ数によって決まります。

 層流から乱流に移るところは、レイノルズ数が2,000~4,000の間にあります(気体、液体、蒸気とも同じ)。
 乱流の場合、管路内の流速分布は、下記の指数法則の式に従います。
 式(2)のnは、前述のレイノルズ数RDの関数であり、実験により求められています。これを表1に示します。このnの値を使用して、式(2)を図化したものを右図に示します。

 平均流速点の位置

 上記のデータより、平均流速と中心流速の比や、平均流速が得られる位置(平均流速点)を求めることができます。後者の結果を表2に示します。ただし、γxmは平均流速点の管中心からの距離です。
 これを見ると、レイノルズ数すなわち流速が大幅に変わっても、平均流速点の位置はあまり変化しないことがわかります。つまり、管壁から管直径の12%の位置に流速計を挿入すれば、おおむね平均流速を知ることができます。
 ただし上記の方法は、流速分布の乱れがないことが前提となっています。したがって、流速計の上流側に弁や曲がりがある場合には適用困難です。そのときは、複数の流速計を使う方法がありますが、これについては別の機会に説明します。

 引用文献

1)松山 裕:実用流量測定、省エネルギーセンター(1995)

     






























<前ページへ

*. 本ウェブサイト上に掲載されている情報は、掲載した時点での情報です。記載内容はお断りなしに変更することがありますのでご了承ください。

*. 本ウェブサイト上の表示価格には消費税は含まれておりません。ご注文の際には消費税を別途頂戴いたします。

MG 株式会社エムジー

Copyright © 1992 MG Co., Ltd. All rights reserved.