工業計測の現状と動向  第7回

圧力測定(その1)


松山 裕
松山技術コンサルタント事務所 所長


1.圧力測定法の動向

 圧力測定法を原理的に分類すると、大きく液柱式と弾性式に分けられます。
 液柱式の代表的な例は、U字管式圧力計です。これは周知の通り、U字管の両脚の液体レベル差と、U字管に加えられた圧力とをバランスさせるものです。この圧力計の原理は圧力の定義に忠実であるので、注意して測定すれば高精度の圧力測定が可能です。しかし、取扱いが不便なので、現在工業測定用としてはほとんど使用されていません。また、液柱式に属するリングバランス式や沈鐘式も現在は製造されていません。
 現在、市場に存在している圧力計のほとんどは弾性式です。これはブルドン管、ベローズ、ダイアフラムといった弾性をもった受圧素子を使用し、圧力によるこれら素子の変位量や歪量を測定して圧力を知る方法です。この圧力素子の材料には、従来は金属が使用されていました。しかし最近は、半導体やセラミックを使用したものが増えています。現場指示計は従来通り金属製受圧素子を使うことが多いのですが、伝送器は半導体やセラミック製が主流になっています。一方、差圧伝送器は、圧力測定というより流量測定や液位測定に多く使用されており、製造量が多く、かつ最近は技術的に大きな変化が見られます。
 本稿では、半導体を使用した圧力センサ(以下、半導体圧力センサと言う)と差圧伝送器に絞って、説明します。

2.半導体圧力センサ

 シリコンなどの半導体材料は、
加えた圧力に対する変位量にヒステリシス(履歴現象)がなく、理想的な弾性体です。圧力センサとして使用するときは、半導体のダイアフラムに測定したい圧力を加え、そのとき生じる変位または歪みを測定します。このときの測定方式は、下記の3種類に分類されます。
 ●歪みゲージ式(ストレーンゲージ式とも言う)
 ●静電容量式
 ●振動式

 (1)歪みゲージ式

 この方式の代表例は、シリコンのダイアフラムの上に不純物を拡散させて歪みゲージを形成するタイプです。歪みゲージを圧力計や差圧計に使用することは以前から行われていましたが、金属で作られた歪みゲージは、感度が低いなどの欠点がありました。半導体歪みゲージは、金属歪みゲージのおよそ50倍の感度があり、近年多く使用されています。
 半導体歪みゲージ式圧力センサの例を図1に示します。センサ中央部の円形ダイアフラム上の4箇所に歪みゲージR1~R4が形成されています。圧力がダイアフラムの上部に加えられますと、この圧力に応じてダイアフラム各部に歪みを生じます。この歪みは中心

     























































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