部と周辺部では方向が反対(引張と圧縮)なので、歪みゲージR1~R4をブリッジ回路に組むことにより、圧力に比例した出力を得ることができます。ダイアフラムの下部は真空にしてから封止していますので、この構造で絶対圧力の測定ができます。また、この部分を大気開放にすれば、ゲージ圧(大気圧基準の圧力)の測定ができます。なお、この構造ではシリコンセンサが測定流体に直接接触することになります。そのため、工業計測用の製品の多くは、シリコンセンサの上に金属のシールダイアフラムをかぶせて保護しています。この場合、シールダイアフラムとセンサの間に、シリコンオイルを入れて圧力を伝えます。
 上記の構造は、すべてシリコンで作られていますが、金属のダイアフラムの上にシリコンを蒸着し、フォトエッチングにより歪みゲージを形成する方法もあります。この場合は、金属ダイアフラム上にSi O2の絶縁膜を形成し、その上にシリコンを蒸着します。このように絶縁物の上にシリコンを載せるので、SOI方式(Silicon On Insulator)と言います。構造例を図2に示します。このタイプの圧力センサは、(I)シールダイアフラムを省略することができる、(II)150℃以上の高温でも動作可能、という特徴があります。

 (2)静電容量式

 静電容量式差圧センサの原理図を図3に示します<注>。
 測定すべき圧力が左右の接液ダイアフラムに加えられると、この圧力は封入液を介して中央の測定ダイアフラムに与えられます。これにより、測定ダイアフラムは、圧力に比例したわずかな変位を生じます。その結果、左右の固定電極との間の静電容量が差動的に変化しますので、これを増幅して差圧に比例した出力を得ることができます。
 この原理の製品はかなり以前から市場にありましたが、測定ダイアフラムに単結晶シリコンを使用した製品は、約6年前発売されました。この製品の原理図を図4に示します。図4に単結晶シリコンダイアフラムと示されている部分は、図3の測定ダイアフラムに相当します。単結晶シリコンは前述したように、理想的な弾性体なので、長期にわたり安定な測定が可能とされています。

 (3)振動式

 約4年前、単結晶シリコンを使用した振動式差圧伝送器が発売されました。これは、圧力を受ける測定ダイアフラム上に、非常に小さい振動子を作り込んだものです。この製品については、次章で説明します。



◆引用文献 ◆

1 )五十嵐伊勢美:半導体を使ったストレーンゲージ、 計測技術、 Vol.23 、No.8、p.45 (1995)
2 )長野計器:圧力センサ応用製品セレクションガイド 、 p.15 (1995)
3 )松山 裕: 圧力測定、省エネルギー、 Vol.42 、No.9、p.61(1990)
4 )富士電機:FCXシリーズ カタログ (1995)

<注>これは半導体式ではないが、原理の説明のために示しました。

      著者紹介



松山 裕
松山技術コンサルタント事務所
所長















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