工業計測の現状と動向  第9回

レベル測定(その1)


松山 裕
松山技術コンサルタント事務所 所長


  1.レベル測定法の動向

 レベル測定法としては、液面測定と粉粒面測定の両方を考えることとします。レベル測定法は下記のように分類できます。
 A.接触式
  (1)圧力式
  (2)フロート式(ディスプレースメント式を含む)
  (3)電気式(静電容量式、導電率式など)
  (4)機械式(振動式、重錘式など)
 B.非接触式
  (1)超音波式
  (2)マイクロ波式(電波式とも言う)
  (3)放射線式
 最近の動向としては、接触式では、圧力式の製品に改良が見られます。また、非接触式では、超音波式の改良とマイクロ波式の新製品の登場が見られます。今回は、超音波式とマイクロ波式について説明し、圧力式は次回に譲ることとします。

  2.非接触式レベル測定法

 非接触式レベル測定法には、超音波かマイクロ波を使用し、測定対象面からの波の反射を利用する方式と、放射線を使用し物質によるエネルギーの吸収を利用する方式の2つがあります。後者は、容器や装置の外側より内部の物質のレベルを知ることができるという、優れた特長がありますが、放射線のもつ危険性や法規上の制約より、高温・高圧などの、他の方法が使用できない場合に限り使用されているのが現状です。
 一方、超音波式とマイクロ波式は、波を送受信器から発射して、測定対象面から反射されて帰ってくるまでの時間を測定しています。測定対象に接触しないでレベルを測定できるという長所より、近年、普及していますが、非接触であるための測定上の問題点もあり、いろいろな工夫・改良がなされてきました。

 (1)超音波式レベル計

 非接触式レベル計の代表は、超音波式レベル計であり、かなり以前より液面計として使用されていました。しかし、粉粒面計としては、かなり問題がありました。これは粉粒面計の設置環境に起因しています。このレベル計を設置する容器(サイロなど)の内部には粉塵が多く、かつ粉粒体が空中に飛散することもよくあります。また、容器内には、継ぎ目、補強材、はしごといった障害物が存在したりします。これらが超音波を反射してにせのレベル信号を検出器に送ります。
 これらについては、最近はデジタル技術を使用して対策がとられています。まず、粉塵とか空中に飛散した粉粒体の影響は、統計的な処理により除きます。次に、容器内の障害物については、あらかじめにせの反射波の発生する位置や強度を測定しておき、これらを検知しないようレベル計を調整しておきます。桜エンドレスの例を図1に示します。
 この方式では、TDT(タイム デペンデッド スレッシュホールド)と書いてある点線より大きい信号のみをレベル計は検知しますので、にせの信号はカットされることとなります。

 (2)マイクロ波式レベル計

 超音波式レベル計にはやや不充分な分野もあります。一般に、高温・高圧の環境では使用は困難です。また、超音波は物質がないと伝播しないので、真空下の測定は不可能です。精度的には、一般には1%フルスケールです。
 これらの不充分な分野をカバーできるレベル計として、最近、プロセス用のマイクロ波レベル計が開発され、発売されています。
 マイクロ波というのは電波<注1>の一種であり、遠赤外線と極超短

     






















































<前ページへ次ページへ>

*. 本ウェブサイト上に掲載されている情報は、掲載した時点での情報です。記載内容はお断りなしに変更することがありますのでご了承ください。

*. 本ウェブサイト上の表示価格には消費税は含まれておりません。ご注文の際には消費税を別途頂戴いたします。

MG 株式会社エムジー

Copyright © 1992 MG Co., Ltd. All rights reserved.