工業計測の現状と動向  第10回

レベル測定(その2)


松山 裕
松山技術コンサルタント事務所 所長


  3.圧力式液体レベル測定法

 液体が入っている容器において、底面にかかる圧力は(液体のレベル)×(液体の密度)に比例します。したがって、この圧力を測ることによって、液体のレベルを知ることができます。
 これが圧力式液体レベル測定法の原理ですが、これに関連した下記の3つのテーマについて以下説明します。
 ●ダイアフラムシール式レベル伝送器
 ●投込み式水位計
 ●HTGシステム

 (1)ダイアフラムシール式レベル伝送器

 圧力式レベル測定法においては、一般に導圧管を使用して容器内の圧力を圧力計に導入します。容器に内圧がある場合は、図1に示すように差圧計(一般には差圧伝送器)を使用してシステムを構成します。
 しかし、容器内の液体が固形物を含んでいたり、粘度が高い場合や腐食性が強い場合は、液体を直接差圧伝送器に導入することには問題があります。また上記のようなことがなくても、導圧管を使用することは、レベル測定システムの保守のうえで好ましくありません。そこで、これらの欠点を避けるため、第8回で説明したダイアフラムシール付差圧伝送器を使用することがよくあります。この場合の構成図を図2に示します。
 この方式には、多くの利点がありますが、一面下記の2つの問題点があります。
 (イ)キャピラリーチューブに充填されているシール液の体積は、周囲温度によって変化します。この体積の変化により、ダイアフラムシール内の圧力が変化します。したがって、両側のダイアフラムシールおよびキャピラリーチューブの内容積が異なると、周囲温度の変化によって差圧伝送器の出力が変わります。また、内容積が同じでも、両側のダイアフラムシールとキャピラリーチューブの温度が異なると、やはり差圧伝送器の出力が変わります。
 (ロ)図2において、上下のダイアフラムシールの高さの差はh2-h1です。この差は、(h2-h1)×(シール液の密度)に相当する差圧を発生し、これが差圧伝送器に与えられます。この差圧は、差圧伝送器を現場に設置するとき調整しますが、調整後気温が変化するとシール液の密度が変化し、その分だけ差圧が変化します。その結果、レベル計としての零点が変化することとなります。
 上記の問題点を解決する方法は下記の通りです。
 (イ)については、両側のキャピラリーチューブの長さを同じとし、かつ両方の温度が等しくなるようにします。(ロ)については、シール液の密度の変化分だけ、差圧伝送器の出力を補正するようにします。
 これらの対策を取り入れたダイアフラムシール式レベル伝送器が、昨年秋の国際計測工業展において、山武ハネウエルと横河電機によって発表されました。前者の構造を図31)に、後者の構造を図42)に示します。図3では、両側のキャピラリーチューブの長さを同じとし、下側のチューブは途中で束ねています。また、シール液の密度の補償は、伝送器内の温度センサを使用して電気的に行っています。図4では、図の温度補正用キャピ

     




























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