ラリーチューブは下部のダイアフラムシール(図のフランジ取付差圧伝送器と一体になっている)に接続されており、内部のシール液の量をもう一方のキャピラリーチューブに合わせています。これにより (イ)(ロ)の問題を同時に解決しています。なお、これらのレベル伝送器では、ダイアフラムシールの径は40Aまたは50Aで、従来よりずっと小さくなっています。

 (2)投込み式水位計

 図1は容器に導圧管を、図2は容器にフランジを設置して差圧伝送器に接続しています。しかし、容器に導圧管やフランジを設置することができない場合もあります。また、井戸、地下タンク、河川、水路などではいずれも不可能です。そのような用途に対して、複数のメーカーから投込み式水位計が供給されています。
 これは、ケーブルの先に圧力測定部を取り付け、これを水中に投入して水位を測定するものです。圧力測定部の中核は半導体圧力センサ(第7回参照)ですが、シリコンの圧力センサの上に金属のシールダイアフラムをかぶせて保護しています。圧力測定部の形状は円筒形で、先端に圧力センサを取り付け、内部に変換器を入れ、DC4~20mAの信号を外部へ発信するタイプが一般的です。ケーブルの中には導線のほか、ゲージ圧測定を行うためにセンサに大気を導入するレファレンスチューブが入っています。精度は±0.2~0.3%フルスケールが普通ですが、最近は±0.1%フルスケールの製品もでています(豊田工機、ドラックジャパン)。なお、腐食性の強い環境用に、チタンやハステロイを使用した製品もあります。

 (3)HTGシステム

 HTGというのはハイドロスタティックタンクゲージングの略で、タンク内の液体のレベル、体積、質量、密度を同時に測定するシステムです。液体の質量を知るには、液体の体積と密度を知る必要があります。この目的にレベル計と密度計を別々に設置するのではなく、3台の圧力計を使用して体積と密度を同時に測定し、その結果を演算することによってタンク内の液体の質量を求めます。
 図5において、圧力P2とP3より液体の密度ρを求めます。次に圧力P1とP2および密度ρより液体のレベルを求めます。さらに、これらよりタンク内の液体の体積と質量を求めることができます。なお、タンクに温度計を取り付け、液体の温度補正を行います。


◆引用文献 ◆<
BR> 1 )野崎庄一郎・泉頭太郎:アプリケーション領域を拡大するリモートシール形発信器、計測技術増刊号、p.105~110 (1995)
2 )横河電機資料、導圧管レスフランジ取付差圧伝送器(1995)


      著者紹介



松山 裕
松山技術コンサルタント事務所
所長








<前ページへ次ページへ>

*. 本ウェブサイト上に掲載されている情報は、掲載した時点での情報です。記載内容はお断りなしに変更することがありますのでご了承ください。

*. 本ウェブサイト上の表示価格には消費税は含まれておりません。ご注文の際には消費税を別途頂戴いたします。

MG 株式会社エムジー

Copyright © 1992 MG Co., Ltd. All rights reserved.