また、メータを高い位置に設置した状態でも、操作卓から表示を切り換えられるように、表示切り換え用外部端子を設けています。
 スケーリング表示の機能も持っていて、VT、CTの比率を設定することで計測した電圧、電流の一次側に換算しての表示だけでなく電力や無効電力をも同時に自動スケール変換します。

 (4)出力の種類

 出力としては、最大3chのアナログ出力(DC4~20mA)、積算電力量を計測するためのパルス出力、デマンド関係の警報出力、およびデータ収集用の通信出力(RS-485)を用意していますから、システムに応じて容易に機能を選択できます。

 (5)特別な計測

 電力マルチメータでは、電圧・電流・電力などの一般的な計測項目以外に2種類の特別な計測が可能です。
 1つはデマンド計測と呼ばれるものです。工場と電力会社間で取り決めた契約電力に対して、その契約値を超過すると契約違反ということで罰則(罰金)が課せられます。したがって、契約電力を超えないように常時電力を監視する必要がでてきます。電力マルチメータでは0.5分~30分の計測繰り返し時間(時限といいます)以内に目標値を超過したかどうかが計測でき、当然のことながら設定時間以内の最大値を計測し、そのデータは内部のメモリに取り込まれます。これがデマンド計測です。取り込まれたデータについては外部からのリセット信号でメモリクリアができます。また、目標値を超過した場合には、その情報によって外部機器を制御できるように、警報出力(リレーa接点)も設けています。なお、電力マルチメータでは、デマンド計測に当たって、電力ではなく三相のうちの1相(標準はR相)の電流を測定して代用しています。
 もう1つは地絡(漏電)を検出する目的で使用する零相電圧の計測です。一般には、受電設備には設備を保護する目的で保護継電器と呼ばれる機器が使われています。保護継電器としては、電線間の接触などによって過電流が流れた場合の保護用に使用する過電流継電器や電気機器の絶縁劣化などによって電線が大地に接触した場合に機器を保護する地絡継電器などがあります。零相電圧とは、この地絡継電器によく使用されている信号であり、接地していない三相3線式の電力系統で「GVT」と呼ばれる3次巻線をもつVTから信号を得ます。この信号には瞬時処理が必要であるため、電力マルチメータでは100msの応答で最大値を計測しています(図3参照)。

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 次回は、今回説明した電力マルチメータとMsysNetを組み合わせたシステムの例とその動作についてご紹介します。

     





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