この限界電流式酸素計は、濃淡電池式にくらべ基準ガスが不要であり、また低濃度（例：0～50ppm）でも測定可能という特長があります。しかし、気体拡散孔がつまると困るので、ダストフィルタは必須です。
工業計測用ジルコニア式酸素計の主要メーカーは、横河電機・富士電機・大阪酸素工業です。
（3）磁気式
酸素ガスは他の多くの気体と異なり、大きな常磁性（磁界に引かれる性質）をもっています。したがって、酸素を含む気体に磁界を加えますと、その気体が移動しかつその風速は酸素濃度に比例します。風速の検出には、これを熱線に当ててその冷却の度合から見る方法、物体に当ててその変位量を測る方法などいろいろあります。
磁気式酸素計は、可燃性ガスに影響されないので、ジルコニア式が使えない所に使用されています。主要メーカーはジルコニア式とほぼ同じです。
（4）ガルバニ電池式
ガルバニ電池式には、隔膜式と隔膜がない方式との2種類があります。前者の例を図3に示します。測定ガス中の酸素は隔膜を透過して電解液に入ります。このとき酸素は水と反応し、カソードから電子を得て水酸基イオン（OH-）になります。アノードでは、アノードの金属が水酸基イオンと反応し、アノードに電子を与えて電解液中に溶解します。その結果、アノードとカソードを結線すると、酸素量に比例した電流が流れます。なお、カソードには金、銀など、アノードには鉛、カドミウムなどが用いられます。このタイプの製品は、多くのメーカーが製造しています。
隔膜がない方式は、通常極低濃度用に使用されます。メーカーには、大阪酸素工業・電気化学計器などがあります。
著者紹介
松山 裕
松山技術コンサルタント事務所
所長
◆ 引用文献 ◆
1）松山 裕：成分測定（その1）、省エネルギーセンター、Vol.43、No.2、p.51（1991）
2）（株）フジクラ：酸素分析計カタログ
松山 裕
松山技術コンサルタント事務所
所長
|
図書のご紹介 本連載を執筆されている松山 裕さんの近著「やさしい計量単位の話」をご紹介します。 新計量法が1993年11月に施行され、日本の法定計量単位が大幅に変更されることになったのは、皆様もご存知のことと思います。3年後の力・圧力・熱量などの単位の切替えを控え、法定計量単位の更なる理解が必要でしょう。 国際単位系（SI）の解説書はよく見かけますが、新法定計量単位とSIとの間にはかなりの差があります。そのため、産業界での単位の使用にあたっては、SIだけの知識ではまったく不充分です。 本書では、すべての法定計量単位と省令単位を、長さ・質量・圧力・温度および熱・物質量などに分け、わかりやすく解説されています。また、英文字・五十音順と丁寧につくられた索引もついており、単位に関心のある人の座右の書といえるでしょう。 【『MS TODAY』編集担当】 やさしい計量単位の話 （日本図書館協会選定図書） A5判 124ページ 定価 1,900円 財団法人 省エネルギーセンター TEL.（03）5543-3015 FAX.（03）5543-3021 |
