図を図2に示します1)。感応板を電磁駆動部により試料中で振動させ、この振幅を変位センサにより検出します。このとき、振幅を一定にするために必要な駆動電流を検出すれば、あらかじめ作成しておいた検量線より粘度を求めることができます。
 ほかに、同じく音叉型ですが粘度と密度を同時に測定する製品(イギリスのソラートロン社)、球形・棒状などの振動子を使用しねじり振動で粘度を測定する製品(アメリカのナメトレ社)などがあります。

5. 落体式粘度計

 試料中に球形の物体を入れ、重力の作用により落下させると、一定の距離を落下する時間は試料の粘度によりきまります。これはJIS Z 8803に規定されている粘度計の1つですが、JISではストップウォッチではかることになっています。工業用には、この原理を自動化した製品が数社から販売されています。これは、構造が簡単で扱いやすいためインキ・塗料などの品質管理によく使用されています。
 製品の例を図3に示します。図に示すように、ピストンを一定距離だけ持ち上げ、次にこれを自由落下させ、落下に要する時間を測定し電気信号に変換して出力します。測定管を、タンクの中に浸漬する方式なので、サンプリングの必要はありません。この製品はアメリカ ノークロス社製ですが同原理の製品はトキメックにもあります。また重力を使用せず、電磁コイルでピストンを移動させ、その移動時間より粘度を測定する製品(アメリカのケンブリッジアプライドシステムス社)もあります。これは小型軽量・設置姿勢が自由という特長があります。
 落体式は、原理的には非ニュートン流体に適していません。しかし条件を一定にして測定すれば、工程管理用に充分使用可能です。

6. 細線加熱式粘度計

 非ニュートン流体には、いろいろな特性の流体があります。ヨーグルト状の物質は、静止状態では固形物に近い性質をもっていますが、かきまぜると液状になり、そのあとしばらく放置すると元の状態になったりします。このような物質をこれまでに説明したような粘度計で測定すると、一定の粘度値が得られません。したがって、固形物に近い最初の状態のままで測定することが望ましいといえます。雪印乳業では、熱の対流を利用して粘度を測定する細線加熱式粘度計を開発し、チーズ製造工程に適用しています。構造的には、電流で加熱したセンサと試料の温度を測定する温度計のみです。原理を図4に示します。同社ではこれを製品化しましたが、現在は販売を中止しています。なお三菱化学坂出は、この原理を応用してピッチの軟化点計を開発し、製造工程に使用しています。


◆ 引用文献 ◆

1)エー・アンド・ディ:振動式粘度計 カタログ
2)極東貿易:ノークロスビスコメーター製品ガイド
3)雪印乳業:動粘度モニタリングシステムカタログ


      著者紹介



松山 裕
松山技術コンサルタント事務所
所長



















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