JIS Z 8116 では、カスケード制御は“フィードバック制御系において、一つの制御装置の出力信号によって他の制御系の目標値を決定する制御”と定義されています。例を図7.1に示します。
この図では、温度調節計の出力が、空気流量調節計および燃料流量調節計の目標値を決定しています。燃料流量調節計の前にある比率設定器は、温度調節計の出力に一定の比率を乗じて燃料流量調節計の目標値にしています。空気流量調節計の目標値は、温度調節計の出力そのままですので、空気流量と燃料流量の比は、比率設定器によって設定されるわけです。なお、開平演算器は、差圧伝送器の出力を流量に比例する信号に変換するために使用します。
この温度調節計を1次調節計、空気および燃料調節計を2次調節計といいます。カスケード制御のカスケード(Cascade)は小さな滝という意味であり、1次調節計から2次調節計へと、一方向に目標値が与えられるということを意味しています。
カスケード制御の主な目的は、2次調節計側の制御ループに入る外乱の影響を速く処理することにあります。たとえば、空気あるいは燃料ラインの上流側の圧力が変化するとそれらの流量は変わります。温度調節計から直接調節弁を操作する方式では、流量変化の影響は燃焼炉に温度変化が生じてから初めて修正されるので、制御結果はカスケード制御より劣ります。